オーバーフローする脳
ワーキングメモリの限界への挑戦
著:ターケル・クリングバーグ
訳:苧阪 直行
内容紹介
◆「脳を鍛える」ことは可能なのか?◆
いまや脳は、情報の洪水に見舞われています。テレビを見ながら新聞を読み、連れ合いのお喋りにも耳を傾けていると携帯が鳴り出す──いまや同時にいくつもの事をこなすのは慣れっことはいえ、時々失敗するのも無理はありません。デジタル社会が生み出す情報の奔流に立ち向かっているのは、4万年ほど前の人類の祖先、生活環境もずっと単純だったであろうクロマニヨン人の脳とほぼ同じ容積の脳なのです。情報ストレスで、ダメージを受けないのでしょうか。本書はワーキングメモリという脳の機能に焦点を当てて、脳の限界と可塑性、脳機能を訓練する可能性について、最新の研究成果を一般の読者にわかりやすく解説した、興味深い科学読み物です。著者は、スウェーデンのカロリンスカ研究所教授、訳者は京都大学名誉教授。共にワーキングメモリ研究で著名な研究者です。
目次
オーバーフローする脳―目次
1 はじめに―石器時代の脳が情報洪水に見舞われたら
■マジカルナンバー
■脳の可塑性
■20世紀のIQ上昇
■未来
2 情報の入り口
■注意には異なる種類のはたらきがある22
■放心状態
■ミリ秒単位で注意を測る
■脳のスポットライト
■ニューロン間の競合
■2つの並列的な注意システム
3 心の作業台
■ワーキングメモリ
■長期記憶
■注意をコントロールする
■問題の解決
■ワーキングメモリと短期記憶
4 ワーキングメモリのモデル
■頭頂葉の情報処理
■記憶と注意の一体化
■情報はどのように符号化されるか
5 脳とマジカルナンバー7
■成熟する脳
■脳の信号と容量
■容量制約のメカニズム
■子どもの脳
■脳の活動のコンピュータ・シミュレーション
6 同時課題処理の能力と心の帯域幅
■運転と携帯
■カクテルパーティー効果と注意散漫
■2つのことを同時に行うとき、脳に何が起こるのか?
■容量統合仮説
7 ウォーレスのパラドックス
■ワーキングメモリの進化
■副産物としての知性
8 脳の可塑性
■脳地図はどのように書き換えられるか
■刺激の効用
■音楽とジャグリング
■「使う」と「何」が鍛えられるのか?
9 注意欠陥多動性障害は存在するか?
■ADHDとは何か
■ワーキングメモリ仮説
■薬物と教育
10 認知ジム
■ロボメモ
■訓練が脳活動にどう影響するか
11 心の筋肉を毎日訓練
■アインシュタイン加齢研究
■心の基準
■禅と集中法
■凡夫禅
■科学と瞑想
■現在と未来の挑戦
12 コンピュータ・ゲーム
■怖れ
■コンピュータ・ゲームの利点
■コンピュータ・ゲームの未来
13 フリン効果
■IQを進化させる
■ダメなものは、タメになる
14 神経認知的エンハンスメント
■心の薬物
■日常の薬物
15 情報の氾濫とフロー
■情報ストレス
■なぜ人間は刺激が好きなのか
■フロー
訳者あとがき
文献と注
索 引
装幀=虎尾 隆
ISBN:9784788512610
。出版社:新曜社
。判型:4-6
。ページ数:258ページ
。定価:2600円(本体)
。発行年月日:2011年11月
。発売日:2011年11月10日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD。