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脱原子力社会の選択

増補版

新エネルギー革命の時代

著:長谷川 公一

紙版

内容紹介

『週刊朝日緊急増刊 朝日ジャーナル原発と人間』を読むと、安全審査、被曝、過酷な現場など、原子力発電の驚くべき実態と政府の甘さが次々と明るみに出されています(長谷川公一「もう一つのチェルノブイリ」参照)。本書は、カリフォルニアの原発閉鎖と新エネルギーを紹介して反響を呼びましたが、増補版では福島原発事故までの15年を徹底検証します。JCO事故をはじめ相次ぐ事故やトラブル隠し、経産省の耐震審査の緩み、メディアの沈黙など、まさに失われた15年だったのです。社会科学的観点から長年の安全軽視を許した原子力ムラの政治支配を厳しく検証し、ただちに脱原子力を宣言し、安全規制を強化するよう、政府に強く求めています。

目次

脱原子力社会の選択 増補版―目次

増補まえがき―「もう一つのチェルノブイリ」を待たねばならなかったのか
  
プロローグ 一九八九年六月の稲妻
(1)原子炉停止命令 (2)「新エネルギー革命」の夜明け
第1部 サクラメント電力公社の危機と再生
第1章 われらが電力公社
第1節 州都サクラメント
(1)もうひとつのワシントン (2)カリフォルニア・ドリーム (3)カウンティと市
第2節 住民自治の電力公社
(1)非営利の電力サービス (2)電力公社という制度 (3)サクラメントの悲願―苦渋の船出
  
第2章 ランチョ・セコ原子力発電所の悲劇
第1節 ランチョ・セコ原子力発電所の夢と現実
(1)原子力発電と経営危機 (2)期待と現実 (3)泥沼の電力公社
第2節 ランチョ・セコ原子力発電所の閉鎖
(1)初期の反対運動 (2)スリーマイルとチェルノブイリ事故の衝撃 (3)住民投票請求
(4)決戦 (5)問題は永久に終わらない (6)「六〇年世代」の勝利
  
第3章 よみがえるサクラメント電力公社
第1節 新総裁フリーマンの経営戦略
(1)大逆転 (2)原発閉鎖のバランスシート (3)カウボーイハットの新総裁
第2節 「省電力発電」―本格化したディマンド・サイド・マネジメント
(1)省電力は発電である (2)電気自動車と緑のエアコン
第3節 電源の多様化と太陽光発電で拓く未来
(1)統合資源計画 (2)ボランティアで太陽光発電 (3)規制緩和時代のSMUD

第2部 カリフォルニア、ヨーロッパそして日本

第4章 新エネルギー革命の時代
第1節 「非原子力化」に向かうアメリカ合州国
(1)原子力ブームの幻影 (2)一九七五年の転機 (3)NRCと原子力安全委員会
第2節 カリフォルニアの実験
(1)公益事業規制委員会(PUC) (2)環境派が主導権を握るとき (3)電力規制緩和問題
(4)カリフォルニアから全米へ
第3節 チェルノブイリ後のヨーロッパ
(1)チェルノブイリ事故と一九八九年以後の大転換 (2)ドイツの政策転換 (3)イギリスの電力民営化政策 (4)デンマークとスウェーデン (5)原子力―フランスの栄光 (6)「非原子力化」の背景
第4節 環境とエネルギーの調和をもとめて
(1)スケールメリット喪失の時代 (2)環境NPOとコラボレイション
  
第5章 日本の選択すべき道
第1節 岐路にたつ日本の原子力政策  246
(1)世界最大の原発大国への道 (2)原発推進の論理とその隘路 (3)原子力政策転換の契機
(4)原子力推進体制の自己維持性
第2節 二一世紀日本の選択―もう一つの道
(1)真夏の大停電 (2)電力政策四つの基本原則 (3)太陽光発電の可能性
(4)国家の電力 対 市民の電力
  
エピローグ 原子力時代の暗い影
註    文献 
  
増補 フクシマ以後の「選択」のために
(1)一五年という時間 (2)「原子力ルネサンス」の虚像と実像
(3)日本の原子力―フクシマへの道 (4)サクラメント電力公社の現在
(5)ふたたび日本の選択
増補註増補文献 
  
あとがき 増補あとがき

ISBN:9784788512450
出版社:新曜社
判型:4-6
ページ数:456ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2011年07月
発売日:2011年07月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:THY