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☆続☆ 教育言説をどう読むか

教育を語ることばから教育を問いなおす

編:今津 孝次郎
編:樋田 大二郎

紙版

内容紹介

教育問題をめぐる多数の議論が時に平行線をたどる現状を打破するため、教育を論じることばや論じ方そのものを見直すことを提唱し、教育論議に新たな道をひらいて好評を得た、前著『教育言説をどう読むか』(1997年)。教育改革の大きな流れのなかで、教育現場に根ざした根源的な問題解決の議論が求められる現在、あらためて、教育を語ることばの交通整理が必要なのではないでしょうか。本書の取り上げるテーマは、不登校、いじめ、ゆとり教育と学力低下、少年犯罪をめぐる「心の教育」の問題など。身近であるがゆえに解決の見えづらい問題に発想の転換をもたらす、現代教育を論じる際に必読の一冊です。

目次

続 教育言説をどう読むか 目次

序 教育言説を読み解く 今津孝次郎
1 教育論議にとっての言語と言語表現
2 「教育言語」と「教育言説」
3 教育言説としての「生涯学習」
4 本書の構成
 注と文献

第Ⅰ部 教育の基本方針に関する言説

1 「ゆとり教育が学力低下を招いた」田中節雄
1 「ゆとり教育が学力低下を招いた」という言説
2 学習指導要領の改訂と「学力低下」批判――言説の舞台 
3 この言説に含まれている誤認 その1――「ゆとり教育」という呼び方 
4 この言説に含まれている誤認 その2――「学力低下」という問題 
5 私たちの課題
 注と文献

2 「教育は市場である」加藤 潤
1 市場化言説のトポロジーとクロノロジー
2 選択の自由とは 68――教育の市場化をめぐる言説模様
3 市場は虚無から人を解放してくれるか
 注と文献

第Ⅱ部 教育指導に関する言説

3 「教育は教え込みではない」森岡修一
1 「教育は教え込みではない」をめぐる論点
2 教育における「教え込み」と対抗言説の関係論
3 国語教育のパラダイム転換
4 新たな教えと学びの可能性に向けて
 注と文献

4 「指導力のない教師が『学級崩壊』を引き起こす」高橋克已
1 言説の構造と素朴な疑問
2 指導力不足原因論の登場と展開
3 「学級崩壊」言説がもたらしたもの
4 学級経営アノミーの軽減をめざして
 注と文献

5 「心の教育」今津孝次郎
1 「少年A」事件と社会の動揺1
2 「心」「魂」「心の教育」
3 〝心の闇〟と「攻撃性」
4 「心の教育」としてのデス・エデュケーション
 注と文献

第Ⅲ部 教育問題に関する言説

6 「三歳までは母の手で」林 雅代
1 「三歳児神話」とは何か
2 「三歳児神話」登場以前の家族に関する非行原因論の展開
3 「三歳」をめぐる制度と「三歳児神話」の興隆
4 「三歳児神話」の解体
5 「三歳児神話」と「子どもの健全発達」の政治性
 注と文献

7 「不登校は公教育の責務で解決する」樋田大二郎
1 登校促進言説によるアイデンティティ形成
2 適応指導をめぐる事件と対抗言説の構築
3 文部省による代替言説の構築
4 社会的自立との関連づけ、公教育の責務の視点
5 不登校言説と学習の多様化、オルタナティブ教育
6 不登校言説における言説の争いとは何だったのか
 注と文献

8 「いじめはあってはならない」伊藤茂樹
1 繰り返されるいじめ問題
2 いじめの問題化のプロセス
3 いじめの定義と統計
4 いじめ言説からの脱却
 注と文献

付章 「教育言説」論の動向を読む 樋田大二郎
1 ことばの力について
2 言説の構造と法則についての検討
3 権力分析の可能性の考察
4 少し古い文献

ISBN:9784788511859
出版社:新曜社
判型:4-6
ページ数:304ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2010年01月
発売日:2010年01月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN