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時間SFの文法

決定論/時間線の分岐/因果ループ

著:浅見 克彦

紙版

内容紹介

200作品を超える時間SFを読み解き、タイム・トラベル、並行世界への跳躍、自己の重複などの基本的なアイデアや物語のパターンを紹介する。そして、物語のシニカルさやアイロニーを踏まえながら、時代感覚への批評性を秘める時間SFの魅力をあぶりだす。

目次

序章 時間SFと時代の感覚
 1 『タイム・マシン』とその時代
 2 現代の意識を引き寄せる時間論
 3 物語論の関心と現代のシニシズム

第1章 ジャンルを俯瞰する
 1 タイム・トラヴェルの物語
 2 タイム・スリップの物語
 3 並行世界へ跳躍する物語
 4 自己重複の物語
 5 時間の果てをのぞむ物語

第2章 タイム・パラドクスと決定論的世界
 1 連なる氷河のような世界
 2 愛による過去の改変――パラドクスの浮上
 3 タイム・パラドクスと happen twice 論
 4 決定論的な時間世界――時間旅行者をとらえる不可避の円環
 5 決定論への帰依と「救済」

第3章 時間SFとニヒリズム――価値意識の惑乱
 1 反復する時間世界――意味と価値の無化
 2 「枝分かれする世界」――価値の相対化と自由意志の無力
 3 因果ループの空虚――価値の真正さが失われゆく世界
 4 ニヒリズムの波紋――自らに懐疑を向ける物語

第4章 物語論としての時間SF――読みのシニシズム
 1 物語の「真実味」を支えるもの――リアリズムの陥穽
 2 時間SFにおける因果のパラレリズム――読みが支える意味の秩序
 3 種を露呈する手品――「読みの真正さ」の持ち分
 4 シニシズムの行方

終章 時間の味わい――感覚的な悦びをもたらすテクスト
 1 変異のなかで湧き上がる時間
 2 意識変調の異様――躍動と移ろいの感覚
 3 時間的な感覚の奥にあるもの――意味の向こうに想像される何か
 4 映像的なテクストの時間――共感覚の渦へと誘う物語

文献一覧

あとがき

著者略歴

著:浅見 克彦
1957年生まれ。和光大学表現学部教授。専攻は社会理論、社会思想史。著書に『SFで自己を読む』『SF映画とヒューマニティ』(ともに青弓社)、『響きあう異界』(せりか書房)、『消費・戯れ・権力』(社会評論社)、訳書にダニエル・ダヤーン/エリユ・カッツ『メディア・イベント』、マーシャル・マクルーハン/ブルース・R・パワーズ『グローバル・ヴィレッジ』、リチャード・ダイアー『映画スターの〈リアリティ〉』(いずれも青弓社)など。

ISBN:9784787292339
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:248ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DSA