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青弓社ルネサンス

ピアノの誕生

増補版

著:西原 稔

紙版

内容紹介

ピアノが誕生して楽器として進化する背景には産業革命があった。技術革新と市場開拓が相互に影響して商品として普及し、富の象徴としてだけではなく「繁栄する未来」を予見させもした歴史的な過程に迫り、ピアノと近代産業化の関連性を丁寧にひもとく社会史。

目次

第1部 ピアノの誕生――楽器の向こうに「近代」が見える

はじめに

第1章 戦争と革命が発展を促す
 1 歴史のなかのピアノ
 2 イギリス・アクションの勝利
 3 新しい時代の幕開け――スタインウェーの登場

第2章 産業の楽器
 1 ピアノ一台、部品は三千八百
 2 技術と美意識との葛藤
 3 ピアノ三国志

第3章 ヴィルトゥオーソの時代
 1 ピアノ製造に乗り出す
 2 エチュードの思想
 3 ペダルに託したロマンティシズム

第4章 ピアノという夢
 1 家族の肖像
 2 『乙女の祈り』
 3 消費される音楽

第5章 ピアノ狂騒曲
 1 ピアノ教師受難の時代
 2 ヴィルトゥオーソ養成ギプス

第6章 自動楽器
 1 変貌しつづける楽器
 2 機械じかけの音楽
 3 コンサート・ホールからの解放

第7章 日本のピアノ
 1 明治の洋楽
 2 国産化への情熱
 3 西洋という理想

おわりに

あとがき

第2部 近代産業とピアノ――ベートーヴェンとリストの苦悩

第1章 ピアノと鉄の文化
 1 鉄のフレームと音響
 2 鉄のフレーム略史
 3 鋳鉄のフレームの工法
 4 フレームの形状
 5 ピアノの鉄の材質
 6 手作りフレームと自動製造のフレーム

第2章 ベートーヴェンとピアノ

第3章 フランツ・リストと十九世紀社会
 1 リストという現象と十九世紀ピアノ文化
 2 サロン文化のヨーロッパとリスト
 3 リストの社会改革の思想と音楽
 4 ドイツ国家主義とリスト

第4章 十九世紀社会の音楽――労働と消費、家庭と国家の力学のなかの音楽
 1 十九世紀市民階層と音楽への消費
 2 市民社会形成の指標としてのピアノ文化と合唱文化
 3 十九世紀教養市民階層での価値観――歴史意識と宗教趣味
 4 クラシック文化と大衆化文化とサブカルチャー――ストック価値とフロー価値
 5 家庭と国家の力学のなかの音楽

第5章 兼常清佐と西洋音楽
 1 兼常の西洋音楽に関する基礎知識と教養
 2 兼常のベートーヴェン論と音楽史解釈
 3 ピアノの音の本質を求めて

初出一覧

増補版あとがき

解題 ピアノは人造人間の夢を見るか?  許 光俊

著者略歴

著:西原 稔
1952年、山形県生まれ。桐朋学園大学音楽学部教授、音楽学部学部長。18、19世紀を対象にした音楽社会史、音楽思想史を専攻。著書に『クラシックでわかる世界史』『ピアノ大陸ヨーロッパ』(ともにアルテスパブリッシング)、『聖なるイメージの音楽』『音楽史ほんとうの話』『ブラームス』『新編 音楽家の社会史』『シューマン全ピアノ作品の研究』(いずれも音楽之友社)、『クラシック名曲を生んだ恋物語』(講談社)、『「楽聖」ベートーヴェンの誕生』(平凡社)、『世界史でたどる名作オペラ』(東京堂出版)、共編著に『ベートーヴェン事典』(東京書籍)、訳書に『『魔笛』とウィーン』(平凡社)ほか多数。

ISBN:9784787273314
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:308ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2013年05月
発売日:2013年05月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AVR