出版社を探す

サイレントマザー

貧困のなかで沈黙する母親と子ども虐待

編著:石川 瞭子

紙版

内容紹介

暴力―沈黙―貧困のスパイラルのなかで子どもを虐待したり黙認する「助けて!」と言えない母親=サイレントマザーは、自身が受けた暴力で心身を害している場合も多い。児童虐待の深刻な事例を分析して「沈黙しないで!」と母親に訴え、具体的な対策を提示する。

目次

まえがき 石川瞭子

序章 サイレントマザーの生活 石川瞭子
 1 無言の母と無言の子
 2 「いいよ」としか言わない
 3 生きているのに生きていない
 4 監視社会に沈黙する
 5 異質なものは排除する社会
 6 「職がなければソープランドで働け」という国
 7 檻から抜け出せない
 8 希望をつなぐ命
 9 『人形の家』のノラ
 10 支援者の視線
 11 見逃された異常
 12 闇に埋もれた人
 13 継続(居続けること)を学習していない
 14 家族の意義
 15 地域の意義
 16 サイレントマザーからの伝言

第1部 事例をもとに検証する

第1章 サイレントマザーの事件 石川瞭子
 1 ポリ袋による三歳児虐待死事件
 2 Xくん――「息子ちょー可愛いです」
 3 Aさんの事情、Aさんの家族
 4 Bさんという人物
 5 AさんとBさんとXくんの危険な三角関係
 6 事件の発生――夕食後のくつろぎの場

第2章 未然に防止することはできなかったのか 石川瞭子
 1 Aさんの人生曲線――どのような人生だったのか
 2 人生の下り階段――Aさんの人生の歩み
 3 地域の危機管理――情報はどこにいったのか

第2部 多様なサイレントマザーの生き方

第3章 見過ごされた虐待死――語らない母の手が犯した「心中による虐待死」 西岡弥生
 1 報道の裏側にある母子の暮らし
 2 家族危機が発生するまでの道のり
 3 不適応としての「心中」企図――「支援のすきま」に落ちる母子
 4 虐待概念の見直し――児童虐待防止法による偽解決の構図
 5 いま、私たちにできること――母子の地域生活を支える仕組み

第4章 わが子を病者に仕立てる母親 小楠美貴
 1 理想と現実のはざまで
 2 母親の真実
 3 MS型とMSBP型
 4 愛に飢えた母親たち

第5章 ある不登校をめぐる事情 城戸貴史
 1 家族の気持ち
 2 不登校のリスク
 3 立ちはだかる壁

第6章 性的虐待に沈黙する母親 中村洋子
 1 沈黙する母
 2 性的虐待はどれくらい存在するのか

第7章 乳児遺棄事件とマザーとなる人 眞口良美
 1 乳児遺棄事件の実際
 2 「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」から見る乳児遺棄事件
 3 乳児遺棄事件への理解

第8章 沈黙する発達障害児の母親 池田信子
 1 「発達障害」と「こだわり」
 2 少年事件を「こだわり」から読む
 3 事例から見える発達特性「こだわり」との関係
 4 子ども虐待と発達障害の関連
 5 完璧な親にならなくてもいい――まとめに代えて

第9章 十代未婚の親 佐藤佑真
 1 妊娠を隠す高校生
 2 親となる家出少女
 3 十代未婚の親の背景

第10章 子を好きになれない親たち 木村由美
 1 衝動
 2 母親に翻弄されて
 3 理想の親子の形
 4 自分を優先するママ友
 5 自分を生きられなかったA子
 6 A子が目指したのは

終章 サイレントマザーはサイレント・マジョリティー――「助けて」を言わない多数の母たち 石川瞭子

あとがき 石川瞭子

著者略歴

編著:石川 瞭子
聖隷クリストファー大学社会福祉学部教授。専攻は社会福祉学。著書に『不登校から脱出する方法』(青弓社)、『子どもの性虐待』(誠信書房)、編著書に『不登校を解決する条件』『スクールソーシャルワークの実践方法』(いずれも青弓社)、『性虐待をふせぐ』(誠信書房)、『性虐待の未然防止』(至文堂)、『おもしろ社会福祉』(八千代出版)、共編著に『児童・生徒の心と体の危機管理』(青弓社)ほか。

ISBN:9784787234247
出版社:青弓社
判型:4-6
ページ数:274ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2017年10月
発売日:2017年10月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS