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わが国における精神病に関する最近の施設

現代語訳

著:呉 秀三
解説:金川 英雄

紙版

内容紹介

呉秀三/樫田五郎『精神病者私宅監置の実況』に並び、近代日本の精神医療導入を知るうえで欠かすことができない一次史料の待望の現代語訳。樫田五郎『日本における精神病学の日乗』もあわせて翻訳、豊富な注とコラムで背景知識や社会状況なども解説する。

目次

現代語訳者によるまえがき――明治の精神医療:隔離と拘束の歴史 金川英雄

第1章 わが国における精神病に関する最近の施設 医学博士 呉 秀三

コラム1 なかなかできなかった精神科医局と森鴎外「独逸(ルビ:ドイツ)日記」
コラム2 呉はなぜ「この国に生まれた不幸を重ねる」と言ったのか

第2章 精神病学を教授研究する設備

コラム3 明治の薬物療法
コラム4 精神科が克服した病、進行マヒ

第3章 精神病者を収容または処置する設備
 1 官公立精神病者収容所
 2 私立精神病院
 3 白痴教養所
 4 医療上の目的でない精神病者収容所

コラム5 精神病者慈善救治会
コラム6 中村讓と台湾の精神医療

第4章 精神病者の待遇と処置
 1 総論
 2 病院での処置
 3 東京府てん狂院の構造その他
 4 東京高尾山
 5 個人の家に精神病者がいて守視し看護する方法
 6 精神病者の輸送と意見
 7 精神病者慈善救治会

コラム7 朝鮮済生院精神病部
コラム8 精神科で全く触れられない明治の大津事件

第5章 明治初年以降の精神病に関する法律または命令の変遷
 1 精神病者の監護に関するもの
 2 精神病者監護法
 3 精神病者の罪責能力、分能力などに関するもの
 4 精神病者に対する犯罪
 5 廃疾者などの犯罪
 6 年齢
 7 幼者に対する犯罪に関して
 8 民法上の規定に関して
 9 精神病の軽度の者と聾者唖者
 10 精神病者の賠償責任
 11 精神病の鑑定に関するもの

コラム9 衛戍病院と精神病室
コラム10 隔離と拘束

第6章 日本における精神病学の日乗 医学士 樫田五郎

コラム11 アジア精神科医療の夜明け

おわりに 金川英雄

著者略歴

著:呉 秀三
1865年3月14日(元治2年2月17日)―1932年(昭和7年)3月26日。日本の精神医療の扉を東山天華が開け、榊俶が導入し、呉秀三が確立した。東京帝国大学医科大学精神病学講座第三代教授。臨床、教育、研究に力を注ぎ、絶対数が少ない時代に精神科病院建設を推し進めた。私宅監置に医療がないことと大学内に精神科施設がないことを嘆いたが、それを克服した。理論と現実を改革する力を備えた実務家。
解説:金川 英雄
1980年3月、昭和大学医学部卒業、84年3月、昭和大学大学院医学研究科博士課程修了。昭和大学付属烏山病院、昭和大学医学部助手を経て、1993年10月から東京武蔵野病院、2002年3月に慶應義塾大学文学部卒業、13年4月から横須賀市立うわまち病院、15年4月から関東労災病院勤務、現在、精神神経科部長。聖母大学、東京家政大学兼任講師、帝京平成大学客員教授を経て、2013年7月から昭和大学精神神経科教室客員教授。医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医、日本病跡学会理事、日本職業・災害医学会。著書に『日本の精神医療史』、共著に『精神病院の社会史』(ともに青弓社)、訳書に『現代語訳 呉秀三・樫田五郎 精神病者私宅監置の実況』(医学書院)。

ISBN:9784787233936
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:416ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:MBN