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ホテル百物語

著:富田 昭次

紙版

内容紹介

歴史的な建造物としてのホテル、市庁舎に生まれ変わった城郭風ホテル、豪華なもてなしを競うホテル、戦争の舞台や戦後のシンボルになったホテル……。驚きの出来事から文学・映画で描かれた印象的なシーン、音楽や料理を彩る空間など、エピソード満載の百物語。

目次

はじめに

第1章 失われた記憶、よみがえる情景
 第1話 巌窟ホテルの謎と意外な真相
 第2話 深い霧のなかから姿を現したホテル
 第3話 便利なリゾート、不便なリゾート
 第4話 精進ホテル創業者ホイットウォーズの謎
 第5話 粗削りのダイヤのような性格だった経営者
 第6話 百年前の給水塔を再利用した大胆な発想
 第7話 香水王コティの伝説に彩られた古城ホテル
 第8話 可憐な花園リゾートは岩崎男爵の遺産
 第9話 レトロな町に溶け込んだ銀行建築のホテル
 第10話 相次いで火の手に襲われる名門ホテル
 第11話 ホテルのラベルが物語る時代のきらめき
 第12話 永久保存が叫ばれた帝国ホテルのライト館
 第13話 移築・復元されたライト館の工事裏話
 第14話 伝説の建築家・下田菊太郎の悲劇
 第15話 市庁舎として生き返った城郭風ホテル
 第16話 独創的なホテルの悲しい末路
 第17話 湘南文化の中心地だった増殖建築のホテル
 第18話 ホテルは人々の行く末を照らす灯台
 第19話 客船がホテルとして余生を送るなかで

第2章 ホテル王たちの野望と蹉跌
 第1話 景色を輸出できなければ、旅行者を輸入しよう
 第2話 豪華列車の乗客には豪華ホテルを
 第3話 ホテル王にはなれなかった鉄道王
 第4話 客が求めるものを敏感に感じ取る才覚
 第5話 富裕階級を引き寄せるリッツの名声
 第6話 女性を輝くばかりに美しく見せよう
 第7話 スエズ運河より東で最高のホテルを
 第8話 有名ホテルを次々に買収するヒルトン
 第9話 全室浴室付きで人気のスタットラー・ホテル
 第10話 高級ホテルでも浴室は贅沢の象徴だった
 第11話 二十世紀前半の最優秀ホテルマン
 第12話 ヒルトンの好敵手、シェラトンの登場
 第13話 老舗ホテルと新興チェーンの対決
 第14話 買収で王国を築き、逆買収で王国が解体
 第15話 軌を一にするモーテルとアメリカ社会の発展
 第16話 世界が相手だから不測の事態も数々あり
 第17話 吹き抜けロビーで名を広めたハイアット
 第18話 紳士淑女をおもてなしするのも紳士淑女
 第19話 爆発的成長を支えたものとは

第3章 おもてなしの知恵比べ
 第1話 殺人宿と大富豪の邸宅のような宿
 第2話 十八世紀フランスの最良のホテルとは
 第3話 観光立国スイスの黎明期の出来事
 第4話 相部屋から完全個室の時代へ
 第5話 最先端をいく食事と宴会のサービス法
 第6話 誇り高きドアマンの転落人生を描いた映画
 第7話 スタットラーの名言「お客様は常に正しい」
 第8話 もう一度利用してみたいと思わせる心理作戦
 第9話 外国人旅行者をもてなしたプロ集団とは
 第10話 ホテル経営を左右するガイド問題
 第11話 おもてなしの職人、コンシェルジュの起源
 第12話 観光客からパリを救う? コンシェルジュの勇断
 第13話 ワインの伝道師、ソムリエの誕生と活躍
 第14話 顧客を増やすバーテンダーの技量
 第15話 パリの最高級ホテル、パラスが起こした事件
 第16話 大富豪の要求も信頼関係があればこそ
 第17話 VIPとスイートルームの微妙な関係
 第18話 日本人客を嫌った日本人ホテリエの気骨
 第19話 ホテルの利用を断られた人々の無念
 第20話 大富豪と貧乏人が巻き起こす騒動記
 第21話 時代の主流は「ご要望にお応えした」禁煙ホテル
 第22話 画一的な巨大ホテルに閉口した人が行く先は
 第23話 女性の移り気に左右されるホテル業界
 第24話 幼子を抱える夫婦を顧客とする法
 第25話 新しい市場「お別れの会」の将来性

第4章 戦争とホテル――泥沼の時代の営み
 第1話 ポーツマス条約締結の舞台裏
 第2話 作法を重んじたヤマトホテルの支配人
 第3話 小説『幻のホテル』と通化事件
 第4話 川端康成とホテル・ニューハルビン
 第5話 河豚計画とハルビンのモデルン・ホテル
 第6話 帝国在郷軍人会のホテル、それは軍人会館
 第7話 東南アジアのホテルに感心する日本人
 第8話 ヴィッキ・バウムの『上海ホテル』
 第9話 金谷正夫の『上海記』は重要な歴史資料
 第10話 営業休止を迫られる戦時下のホテル
 第11話 東条内閣打倒工作が練られた万平ホテル
 第12話 神戸の人種雑居ホテルに住みついた西東三鬼
 第13話 研究熱心な料理人が発明した宝米
 第14話 嘘も本当も泊める『紙屋町さくらホテル』
 第15話 ホテルが武器になるという論法
 第16話 焼夷弾からホテルを守った従業員

第5章 戦後という新しい世界が構築されるなかで
 第1話 空襲の標的からはずされていたホテル
 第2話 マッカーサー元帥を接遇した女性従業員
 第3話 敗戦国・日本を救った三布告公表の阻止
 第4話 帝国ホテルを管理したモーリス中尉の回想録
 第5話 講和条約締結全権団を接遇した若者とは
 第6話 新しい発想、新しい客層、新しい価値観
 第7話 「戦後」を迎えられなかった山王ホテル
 第8話 「人間宣言」をおこなった昭和天皇のホテル選び
 第9話 台湾神社跡地の中国宮殿風ホテル
 第10話 アメリカの海外援助で始まった航空会社のホテル
 第11話 松本重治の理想から生まれた国際文化会館
 第12話 高級老舗リゾートホテルに核シェルター
 第13話 マジェスティック・ホテルだって最前線だ
 第14話 日本史上最大の国際会議成功の裏にホテルあり
 第15話 本土復帰前後の沖縄で何が起きていたか

参考文献一覧

“揺りかごから墓場まで”おもてなしいたします――あとがきに代えて

著者略歴

著:富田 昭次
1954年、東京都生まれ。立教大学卒業。ホテル専門誌の編集記者、編集長を経て、ホテル・旅行作家の活動に入る。著書に『ホテル博物誌』『ホテルの社会史』『ホテルと日本近代』『旅の風俗史』『絵はがきで見る日本近代』(いずれも青弓社)、『サービスはホテルに学べ』『おひとりホテルの愉しみ』『東京のホテル』『「極み」のホテル』(いずれも光文社)、『キャピトル東急ホテル物語』『鯨を釣る男』『最上のホテルその隠された秘密』『東京ヒルトンホテル物語』(いずれもオータパブリケイションズ)、『ノスタルジック・ホテル物語』(平凡社)、『日本ホテル協会百年の歩み』本編執筆(日本ホテル協会)、『恋愛ホテル』監修(にじゅうに)など。

ISBN:9784787233622
出版社:青弓社
判型:4-6
ページ数:282ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2013年08月
発売日:2013年08月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNSG