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青弓社ライブラリー 70

ひとはなぜ乳房を求めるのか

危機の時代のジェンダー表象

他著:山崎 明子
他著:黒田 加奈子
他著:池川 玲子

紙版

内容紹介

ヨーロッパ中世、近世イタリア、戦中・戦後の日本映画、ピンクリボンキャンペーンなど、古今東西の乳房イメージと社会との関係を明らかにして、女性の身体そのものから乖離している乳房イメージと、それに密接に絡み合うジェンダー力学を解明する乳房文化論。

目次

はじめに 山崎明子

第1章 男/女の差異化――医学的言説における乳房 黒田加奈子
 1 医学史概略とジェンダー
 2 医学史に見る乳房・乳をめぐる言説――体液としての乳
 3 薬剤としての乳

第2章 美の威嚇装置 山崎明子
 1 ピンクリボンキャンペーンとは
 2 ピンクリボンキャンペーンの歴史
 3 蓄積される乳房の表象
 4 新たな意味創造の困難
 5 「乳がんではない」美しい身体
 6 表象の裏切り
 7 ピンクリボンキャンペーンをめぐる表象の政治学

第3章 「聖戦」論理の構築 池川玲子
 1 戦時下日本映画にみる「授乳」のイメージ
 2 銃後映画の「授乳」イメージ
 3 戦地・占領地映画の「授乳」イメージ
 4 満洲移民映画の「授乳」イメージ

第4章 都市秩序の再生 新保淳乃
 1 ペスト危機と乳房イメージ
 2 ペスト図像での乳房イメージ
 3 授乳しない乳房の系譜
 4 都市秩序の再生

第5章 男性優位のジェンダー秩序の再編/強化 千葉 慶
 1 「危機」の時代の/「危機」に抗する日本映画――レイプ表象の生産/消費の背景
 2 「俺たちをケダモノにしたのはお前たちじゃないか」――「劣情有理」とレイプ表象
 3 「あんたも、お嬢さんなんて仮面を早く取ることだな」――「レイプ神話」の定着へ

あとがき 山崎明子

著者略歴

他著:山崎 明子
1967年、京都府生まれ。奈良女子大学生活環境学部助教。専攻は視覚文化論、美術制度史、ジェンダー論。著書に『近代日本の「手芸」とジェンダー』(世織書房)、共著に『視覚表象と音楽』(明石書店)、『女性とたばこの文化誌』(世織書房)など。
他著:黒田 加奈子
1974年、群馬県生まれ。千葉大学大学院人文社会科学研究科特別研究員、国立歴史民俗博物館非常勤職員。専攻はイタリア美術史、科学思想表象文化史。論文に、「西欧世界の「月暦図」について」(「千葉史学」第58号)、「コムーネの自己表象としての「正義」の擬人像研究」(「鹿島美術財団年報」第26号別冊)など。
他著:池川 玲子
1959年、愛媛県生まれ。実践女子大学ほか非常勤講師。専攻は近代日本女性史、日本映画史。著書に『「帝国」の映画監督 坂根田鶴子』(吉川弘文館)、共著に Women in Japanese History(Global Oriental)、論文に「戦時下日本映画の中の女性像」(「歴史評論」第708号)など。

ISBN:9784787233288
出版社:青弓社
判型:4-6
ページ数:216ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2011年08月
発売日:2011年08月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS