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青弓社ライブラリー 13

偏見というまなざし

近代日本の感性

編著:坪井 秀人

紙版

内容紹介

ヒステリー観の変遷、文学史における性と生、戦時雑誌の公共性、ポートレートとジェンダーの問題、感覚の抑圧と近代主義など、近代日本における感性の変遷を「偏見」をキーワードに読み解き、メディア論・文化研究の新しい視角を提示する刺激的な論考集。

目次

まえがき  坪井秀人第1章 KNOW THYSELF? ──猫の観相学  坪井秀人 1 書く猫、そして観察する猫 2 観察のディスクール 3 鼻という中心 4 観察される主体第2章 明治末、超感覚を定位する──催眠術・千里眼・科学  一柳廣孝 1 心霊写真は語る 2 催眠術が超常感覚を開く? 3 「超」はあるのか──千里眼事件の帰趨 4 おわりに第3章 ヒステリー──メディアのなかの病  船越幹央 1 女性の病「歇以私的里(ヘイステリ)」 2 通俗医学書にみる記述 3 ヒステリーの意味 4 論理的な逸脱第4章 読書としての文学史──文学史の〈性〉と〈生〉  和田敦彦 1 「史」という読み方 2 文学史の中心点 3 小説と史記述の性 4 史記述の人生化 5 「中年」という中心 6 史記述と読みの規制 第5章 出版バブルのなかのファシズム──戦時雑誌の公共性  佐藤卓己 1 戦時出版に関する「戦後的常識」 2 国民雑誌の黄金時代 3 戦時雑誌バブルの実相 4 大衆雑誌の国民的公共性 5 おわりにかえて第6章 近代的視線と身体の発見  佐藤(佐久間)りか 1 ものを見るということ 2 写真と鏡 3 「手」の発見 4 「裸体を見慣らす」 5 近代化される身体 6 おわりに第7章 「聴く」ことからの音楽  藤井明子 1 意図的に聴かれない音楽──サティの「家具の音楽」 2 聴くことによって生まれる音楽──ケージの『四分三十三秒』『〇分〇〇秒』『ONE3』 3 自然音と楽音が織り成す交響詩──シェーファーの『星の王女』 4 今堀恒雄による「コラボアート『環』」の音楽  第8章 感覚の抑圧と近代主義  正高信男 1 聴覚障害児の初期言語発達 2 指先で点字を「見る」視覚障害者 3 認知障害の代償としての「超」感覚 4 障害を得ることによる正岡子規の「開眼」 5 視力を失ったことによる北原白秋の転向 6 近代主義における感覚の征圧 7 感覚による自立的な「自己規定」 8 社会のマジョリティとしての障害者=高齢者第9章 「障害者」差別に関する断想──一介助者としての経験から  市野川容孝 1 「儀礼的無関心」と「無礼な注目」 2 「作為的無関心」 3 差別を可視化すること──「青い芝」の運動 4 「健常者のアイデンティティを問いなおす」

著者略歴

編著:坪井 秀人
1959年生まれ。名古屋大学情報文化学部教授。専攻は日本近代文学。著書に『萩原朔太郎論』(和泉書院)『声の祝祭』(名古屋大学出版会)、編著に『萩原朔太郎』(有精堂)

ISBN:9784787231833
出版社:青弓社
判型:4-6
ページ数:248ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2001年04月
発売日:2001年04月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB