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クリティーク叢書 9

アシッド・キャピタリズム

著:小倉 利丸

紙版

内容紹介

情報資本主義が生み出した快楽への欲求と不断の禁断症状は、私たちを資本に飼い慣らされたジャンキーへと変容させていく。ロック、モダン・アート、アヴァンギャルド・シーン、性と天皇を横断して快楽の罠と権力関係を解読する。

目次

第1部 第1章 音の氾濫、反乱の音──大衆音楽の両義性  アシッド・キャピタリズム/商品化される文化と複製芸術の可能性/大衆音楽の可能性の根拠/パラマーケットの仕掛け 第2章 パラマーケットの影──飼育されるロックの仕組み  企業文化のなかのロック/商品化批判とその限界/パラマーケットの非貨幣的な文化幻想/解体する自立的サブカルチャー/文化の形式的な受容とサブカルチャーの制度化 第3章 ノイズと権力──コード化する力  アシッド・キャピタリズムのジャンキー/快楽とカテゴリー産出としての権力/アヴァンギャルドからパンクへ/ロックに反対するロック/「ノイズ」の可能性/ノイズとしてのノイズ/解体するノイズ?/ポスト・インダストリアルにおける金属と電子の融合/メジャーのなかのノイズ第2部 第4章 支配的文化と逸脱する表現行為  文化のオートノミーと文化のポリティクス/八〇年代のアメリカのアートシーン/アメリカ合衆国における検閲のコンテクスト/セラーノ「ピス・クライスト」/ロバート・メイプルソープとホモセクシュアルの表現/フランチェスコ・トレスとファイン・アートの脱構築/逸脱するアート/挑発する性と身体/権威への挑戦/象徴を超える批判の表現 第5章 不快という快楽──天皇と性をめぐる権力表現  「聖」を支える性の権力表現/保守派/権力の批判の言説/天皇のコンテクストと解釈の絶対性/対抗的な選択肢の課題/「日本人」というフィクションの具体物としての天皇/「裸体」と「裸女」/性差別としての不快と権力の「不快」/不快の位相差/社会関係の変革という課題と表現行為 第6章 社会に介入するアート──シチュアシオニストの実験とボイスの「社会彫刻」  意識および意味の危機/芸術の拡張/シチュアシオニストの実験──早すぎたポストモダン・アヴァンギャルド/ポストISにおけるシチュアシオニズム第3部 第7章 パラマーケット論  はじめに/「スペクタクル」としての消費/日常生活批判から記号支配批判へ/市場システムと情報/パラマーケットの分離と市場システムの傾向的機能低下/パラマーケットにおける水平と垂直/おわりに 第8章 アシッド・キャピタリズムと身体搾取──市場の終焉とパラマーケットの増殖  はじめに/近代社会が労働を基礎として成立した理由/物的労働からコミュニケイション労働へ/なぜ脱工業化=情報化の方向を選択したのかあとがき図版出典一覧表

著者略歴

著:小倉 利丸
1951年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。富山大学教員。著書『搾取される身体性』(青弓社)。『支配の「経済学」』(れんが書房新社)。『ネットワーク支配解体の戦略』(影書房)ほか。

ISBN:9784787230577
出版社:青弓社
判型:4-6
ページ数:332ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:1992年