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妖怪の誕生

超自然と怪奇的自然の存在論的歴史人類学

著:廣田 龍平

紙版

内容紹介

妖怪研究の存在論的前提を問い直すために、主に18世紀末から現代までの自然/超自然や近代/非近代をめぐる議論、日本の知識人の思想などを渉猟して、現代の妖怪概念が生成してきたプロセスを丁寧に分析する。妖怪研究の再構築を試みる野心的な研究成果。

目次

序 章 妖怪学の存在論的前提
 1 本書の目的
 2 本書の対象
 3 概念の超自然的性格
 4 学史における存在論的区分

第1部 妖怪と超自然の近代

第1章 超自然概念をめぐる論争
 1 自然概念の多様性
 2 超自然概念の有効性
 3 超自然概念の批判
 4 非日常的なものとしての超自然
 5 精霊的用法
 6 超自然概念の多様性と統一性

第2章 妖怪の超自然
 1 従来の妖怪学と超自然概念
 2 現代日本における自然と超自然
 3 西洋的自然と日本的自然
 4 前近代における超越/内在
 5 尋常ならざるもの
 6 妖怪概念の精霊的用法

第3章 妖怪の近代
 1 欧米における「超自然の近代」
 2 十九世紀末、超自然概念の導入
 3 初期妖怪論における超自然
 4 近世幽冥存在論
 5 近代幽冥存在論

第2部 妖怪の非近代的概念化

第4章 妖怪の文化
 1 自然と文化
 2 オキナはクラーケンである
 3 「寓言」と「あるもの」
 4 水虎は古代ローマの海神である
 5 対象の転写は連鎖する

第5章 妖怪の科学
 1 俗信に対する一般対称性
 2 妖怪の科学的研究
 3 俗信と民俗学
 4 真空説――その誕生から衰退まで
 5 俗信と科学知識の場

第6章 怪奇的自然
 1 怪奇概念の展開
 2 くねくね
 3 関係論的宇宙からの逸脱

終 章 妖怪学の原理
 1 怪奇的自然と妖怪の概念
 2 妖怪学の新たな原理

参考文献一覧

あとがき

索引

著者略歴

著:廣田 龍平
1983年生まれ。法政大学ほか非常勤講師。専攻は文化人類学、民俗学。訳書にマイケル・ディラン・フォスター『日本妖怪考――百鬼夜行から水木しげるまで』(森話社)など。

ISBN:9784787220943
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:388ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2022年05月
発売日:2022年05月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC