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荒野のおおかみ

押井守論

著:上野 俊哉

紙版

内容紹介

押井守は「大戦間期」あるいは「戦争と戦争の間の時期」の作家ではないか――。この刺激的な仮説のもとに押井監督の作品群をあらためて見つめ、読み込む。閉塞する現実、滅びゆく日本の社会と文化に「抜けない棘」のようにはたらきかける批評の挑発。

目次

序章 犬と狼の間で

第1章 アニメとしての映画、映画としてのアニメ――「作家」も「ジャンル」も投げ捨てろ
 1 世界を絵コンテとして見る
 2 安易な映画的引用を拒否
 3 押井守が提示している“謎の構造”

第2章 アニメ的オートマトン――息を吹き込まれた自動機械/人形としてのアニメ
 1 問題設定
 2 アニメでの無分節的なもの
 3 「天上遊行」と神話創成の力
 4 無意識のアーカイブ/倉庫としての「アラヤ識」
 5 顔の諸問題
 6 水面/鏡面と結晶(クリスタル)化の諸問題

第3章 犬人は狼男の夢を見ない
 1 犬人という形象
 2 リトリーブの政治学

第4章 転回のメタルスーツ
 1 戦後日本とサブカルチャー
 2 ファシズムとメタル/メディア・スーツ
 3 腐食する言葉の鎧
 4 転向/転回の想像力
 5 偽史への転回

第5章 荒野のおおかみ
 1 Born to be Wild
 2 魔術劇場としての世界

資料1 押井守監督作品・著書リスト

資料2 本書中に登場したテレビアニメなどの作品リスト

あとがき

著者略歴

著:上野 俊哉
1962年、宮城県生まれ。和光大学表現学部総合文化学科教授。専攻は社会思想史、文化研究。著書に『思想の不良たち――1950年代 もう一つの精神史』(岩波書店)、『思想家の自伝を読む』(平凡社)、『アーバン・トライバル・スタディーズ――パーティ、クラブ文化の社会学』(月曜社)、『ディアスポラの思考』(筑摩書房)、共著に『実践カルチュラル・スタディーズ』(筑摩書房)、『戦争と平和』(徳間書店)、共訳書にポール・D・ミラー『リズム・サイエンス』(青土社)、ポール・ギルロイ『ブラック・アトランティック――近代性と二重意識』(月曜社)など。

ISBN:9784787210517
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:200ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2015年05月
発売日:2015年05月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF