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線虫の研究とノーベル賞への道

1ミリの虫の研究がなぜ3度ノーベル賞を受賞したか

著:大島 靖美

紙版

内容紹介

 現在、線虫は、ショウジョウバエと並んで遺伝学が駆使できる優れたモデル動物として、世界中の研究室で使用されている。
 本書は、長年線虫の研究を行ってきた筆者が、ブレナー、サルストン、ホービッツ、ファイア、メロ、下村 脩、チャルフィー、チェンなどのノーベル賞受賞者の研究の内容、彼らの実像や成功の秘密、ノーベル賞受賞の鍵、さらには生物学の将来への展望などをやさしく解説したものである。
 そして分子生物学がどのように作られたのか、重要な発見がいかにしてなされたのか、研究とはどのようにするものなのか、といったことと共に幸運がしばしば決定的な役割を果たしたことなどについても語る。研究をめざす若い人たちや研究者に大いに参考になるであろう。

目次

第1章 虫:エレガンス線虫とは?
 1・1 線虫とは
 1・2 エレガンス線虫

第2章 分子生物学の始まりと線虫の登場
 2・1 ブレナーの生い立ち
 2・2 分子生物学の夜明け
 2・3 メッセンジャーRNAの発見と遺伝暗号の研究
 2・4 線虫の登場

第3章 細胞や器官はどのようにしてできるか?
     2002年ノーベル生理学・医学賞受賞
 3・1 ブレナーの研究:遺伝学の樹立と神経細胞ネットワークの解明
 3・2 サルストンの研究:細胞系譜の解明
 3・3 ホービッツの研究:プログラム細胞死の遺伝子と機構

第4章 遺伝子の働きを抑える新しい方法(RNA干渉)の発見
     2006年ノーベル生理学・医学賞受賞のファイアとメロの研究
 4・1 ファイアとメロの生い立ち
 4・2 線虫の形質転換
 4・3 RNA干渉の発見
 4・4 RNA干渉の意義と研究の発展
 4・5 線虫の利点と幸運にめぐまれた受賞

第5章 生きたまま特定のタンパク質や細胞を見る方法とは?
     2008年ノーベル化学賞受賞のチャルフィーらのGFPの研究
 5・1 下村 脩博士の研究
 5・2 チャルフィーの研究
 5・3 チェンの研究

第6章 まとめと展望
 6・1 「モデル生物」はどのように研究に役立つのか?
 6・2 受賞者の人物像、研究スタイル、成功の理由
 6・3 生物学の将来への展望

 あとがき-筆者の研究の要約-
 参考文献
 線虫の研究史
 索引

著者略歴

著:大島 靖美
九州大学名誉教授、理学博士。1964年 東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。筑波大学助教授、九州大学教授、崇城大学教授などを歴任。

ISBN:9784785358631
出版社:裳華房
判型:A5
ページ数:142ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2015年04月
発売日:2015年04月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSVA