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物理学選書 16

金属電子論

磁性合金を中心として

著:近藤 淳

紙版

内容紹介

 本書は金属中の伝導電子の示す基礎的諸性質、特に“近藤効果”といわれるものについて、じっくりと初心者にもわかるように解説したものである。
 原子・分子の量子論から説き起こし、いわゆる近藤効果を、局在スピンの揺動という見地からとらえてその本質を解き明かす。さらに、近藤効果に関する厳密解について、数学的に難解にならぬようかなりのページを使って懇切に解説する。

目次

1 原子
 1.1 平均場近似,電子配置
 1.2 多重項
 1.3 クーロン積分,交換積分
 1.4 Hartreeの方法
 文献

2 分子
 2.1 H2+分子
 2.2 H2分子
 2.3 配置間相互作用
 2.4 第二量子化法
 文献

3 金属のSommerfeld理論
 3.1 固体の分類
 3.2 Sommerfeldの理論
 文献

4 バンド理論
 4.1 結晶の周期構造
 4.2 Blochの定理
 4.3 自由電子からの近似
 4.4 原子軌道の一次結合によるBloch軌道
 4.5 金属と絶縁体
 4.6 Wigner-Seitzの理論

5 金属中の磁性不純物
 5.1 局所的中性
 5.2 球面表示
 5.3 電荷の空間分布と状態密度
 5.4 virtual bound state
 5.5 Anderson模型1
 5.6 Anderson模型2
 5.7 クーロン相互作用:UHF
 5.8 Uについての展開
 5.9 s-d 相互作用
 5.10 軌道縮退のある場合
 文献

6 金属における赤外発散
 6.1 Andersonの直交定理
 6.2 Mahanの問題
 6.3 温度グリーン関数
 6.4 局所ポテンシャルがある場合の温度グリーン関数
 6.5 s-d 問題の状態和
 6.6 Nozieres-de Dominicisの解
 6.7 状態和の計算
 6.8 スケーリングの方法
 文献

7 Wilsonの理論
 7.1 Wilsonのハミルトニアン
 7.2 摂動展開
 7.3 数値計算:スケーリング
 7.4 帯磁率および比熱
 文献

8 s-d 問題の厳密解
 8.1 一次元モデル
 8.2 三体問題
 8.3 対称群
 8.4 N電子問題
 8.5 反対称化
 8.6 固有値問題
 8.7 積分方程式
 8.8 基底状態
 8.9 帯磁率
 8.10 ユニバーサリティ
 8.11 励起状態
 8.12 自由エネルギー
 8.13 比熱
 文献

著者略歴

著:近藤 淳
東邦大学名誉教授、理学博士。1930年 東京都に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院数物系物理学専門課程修了。日本大学助手、東京大学助手、工業技術院電気試験所/電子技術総合研究所特別研究官、東邦大学教授などを歴任。産業技術総合研究所名誉フェロー、日本学士院会員。主な著書に『金属電子論』(裳華房)、『物質の構造 II』(共著、朝倉書店)などがある。

ISBN:9784785323172
出版社:裳華房
判型:A5
ページ数:238ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:1983年