出版社を探す

裳華房フィジックスライブラリー

結晶成長

著:齋藤 幸夫

紙版

内容紹介

 自然界で作られる結晶がどういう環境を経て作られ成長してきたかを知るのが結晶成長の科学であり、どういう具合いに結晶成長を制御すれば、鉄には強度を、半導体には純度を与えられるのかが結晶成長の技術である。
 本書は、結晶成長の基本ストーリーを、物理の普遍的な見方に基づいて説明した入門書である。数式はできるだけ初等的な範囲に抑え、図の助けを得ながら、計算式も一つ一つ追え、そして結晶成長の科学技術の基礎にある熱力学・統計力学が理解できるように心がけた。

目次

1.相変化の熱力学
 1.1 エネルギー,エントロピー,自由エネルギー
 1.2 化学ポテンシャル
 1.3 2相平衡
 1.4 潜熱と1次相転移
 1.5 結晶化の駆動力
 演習問題

2.結晶の誕生
 2.1 準安定状態からの核生成
 2.2 界面自由エネルギー
 2.3 臨界核
 2.4 均一核形成
 2.5 臨界核の形,平衡形
 2.6 界面張力のバランスとヘリングの関係式
 2.7 不均一核形成
 2.8 幾何学的選別
 演習問題

3.理想的成長
3.1 融液成長
 3.2 気相成長
 3.3 溶液成長
 3.4 成長形
 3.5 晶相変化と晶癖変化
 演習問題

4.表面構造とラフニング
 4.1 テラス,ステップ,キンク
 4.2 結晶化とは
 4.3 ラフニング転移とステップ自由エネルギー
 4.4 結晶の表面エネルギー
 4.5 ステップ間相互作用
 4.6 カイネティック係数
 演習問題

5.表面カイネティクス
 5.1 2次元核形成
 5.2 2次元核形成による結晶成長速度
 5.3 らせん転位
 5.4 渦巻き成長による結晶成長速度
 演習問題

6.界面不安定性と形態形成
 6.1 マリンズ‐セケルカ不安定性
 6.2 過冷却融液からの結晶成長 -熱伝導方程式-
 6.3 平らな界面の成長
 6.4 球状結晶の成長
 6.5 針状結晶 -イヴァンツォフの解-
 6.6 フラクタル結晶
 6.7 表面張力の効果
 6.8 規則的樹枝状結晶 -速度選択則-
 演習問題

7.エピタキシャル成長
 7.1 エピタキシャル成長
 7.2 表面拡散
 7.3 拡散方程式
 7.4 特異面の成長
 7.5 エーリッヒ‐シュウェーベル効果とマウンド不安定性
 7.6 微斜面の成長
 演習問題

著者略歴

著:齋藤 幸夫
慶應義塾大学名誉教授、理学博士。1948年 東京都に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。ドイツ・ユーリッヒ原子力研究所常任研究員、慶應義塾大学専任講師・助教授・教授などを歴任。

ISBN:9784785322137
出版社:裳華房
判型:A5
ページ数:170ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2002年11月
発売日:2002年11月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:RBGG