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基礎物理学選書 5A

量子力学 Ⅰ

改訂版

著:小出 昭一郎

紙版

内容紹介

 同じ著者による『量子論(改訂版)』(ISBN 978-4-7853-2131-4)からもっと本格的に量子力学を学ぶための書。予備知識としては大学初年級の一般物理学と数学のみを期待し、大学2年生や高専上級生が読み通せるよう基礎的事項から丁寧に解説してある。
 『量子力学(I)』ではもっぱら1個の粒子の場合を扱った(姉妹書の『量子力学(II)』では主に多粒子系の場合を扱う)。
 本書(I)と姉妹書(II)を完全にマスターされるなら、一通りの基礎知識が整えられたことになるだろう。

目次

1.量子力学の誕生
 1.1 量子論の始まり
 1.2 行列力学の誕生
 1.3 物質の波動論
 1.4 波動力学の形成
 1.5 量子力学の解釈

2.一粒子の波動関数
 2.1 確率の波
 2.2 不確定性原理 
 2.3 波束の運動
 2.4 定常状態
 2.5 箱の中の自由粒子
 2.6 調和振動子

3.波動関数と物理量
 3.1 固有関数の直交性
 3.2 フーリエ級数とフーリエ積分
 3.3 物理量と演算子
 3.4 固有値と期待値
 3.5 波動関数と不確定性原理
 3.6 群速度と波束の崩壊
 3.7 δ関数と位置の固有関数
 3.8 確率の流れ

4.中心力場内の粒子
 4.1 極座標で表したシュレーディンガー方程式
 4.2 球関数と角運動量
 4.3 水素原子
 4.4 球形の箱の中の粒子
 4.5 3次元調和振動子

5.粒子の散乱
 5.1 散乱の古典論
 5.2 ラザフォード散乱の古典論
 5.3 トンネル効果
 5.4 ボルン近似
 5.5 ラザフォード散乱の波動力学的取扱い

6.行列と状態ベクトル
 6.1 3次元ベクトル
 6.2 n次元複素ベクトル空間
 6.3 無限次元のベクトルとしての関数
 6.4 状態ベクトル
 6.5 行列表示の具体例(I) 調和振動子
 6.6 行列表示の具体例(II) 角運動量
 6.7 可換性と同時観測可能性
 6.8 行列対角化の例
 6.9 シュレーディンガー表示とハイゼンベルク表示
 6.10 ハイゼンベルクの運動方程式

7.摂動論と変分法
 7.1 定常状態に対する摂動論(I) 縮退のない場合
 7.2 水素原子の分極率
 7.3 非調和振動子
 7.4 定常状態に対する摂動論(II) 縮退のある場合
 7.5 励起水素原子のシュタルク効果
 7.6 変分原理とシュレーディンガー方程式
 7.7 変分法の適用

8.電子のスピン
 8.1 スピン角運動量
 8.2 スピン軌道関数の計算例
 8.3 スピン軌道相互作用
 8.4 1電子の角運動量の合成
 8.5 正常ゼーマン効果
 8.6 ラーマーの歳差運動
 8.7 異常ゼーマン効果

付録1. 古典解析力学
    ラグランジュの運動方程式
    ハミルトンの運動方程式
付録2. エルミー卜多項式Hn (ξ)の諸性質
付録3. 磁場内の荷電粒

著者略歴

著:小出 昭一郎
東京大学名誉教授、山梨大学名誉教授、理学博士。1927年 東京都に生まれる。東京大学理学部卒業。東京大学助手・助教授・教授、ジュネーブ大学招聘教授、山梨大学学長などを歴任。専攻は分子物理学、固体物理学。主な著書に『物理学(三訂版)』『量子論』『量子力学(I)』『量子力学(II)』(以上 裳華房)、『物理現象のフーリエ解析』(東京大学出版会)、『エントロピーとは何だろうか』(岩波書店)などがある。

ISBN:9784785321321
出版社:裳華房
判型:A5
ページ数:280ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:1990年