文人画 往還する美
著:河野 元昭
紙版
内容紹介
作品そのものに誠実に向き合い、画像・文献を問わずあらゆる史料を博捜する、堅実な学問的営為でありながら、広範な学識と鋭敏でしなやかな感性に支えられた叙述力で、その時代を生きた作家たちの息づかいまでが伝わる、豊饒な河野美術史の世界。
日本近世絵画史全体にわたる業績のなかから、知と美の共演というべき文人画研究を集大成。
乾山・大雅・蕪村・呉春・玉堂・竹田・米山人・文晁・崋山・・・彼らが中国文人画の影響のもと、何を学び、何を理想として、どのような画境へ到ったのか―生き方をも含めた研鑽の跡をたどる26篇。
目次
Ⅰ
第1章 日本文人画試論
第2章 日本文人花鳥画序説
第3章 日本初期文人花鳥画試論
第4章 江戸時代写生写意考
第5章 「写生」の源泉―中国―
第6章 日中の自然と山水画
第7章 日本文人画と中国憧憬
Ⅱ
第8章 乾山文人画試論
第9章 大雅の詩―光と色の世界―
第10章 大雅二十代の作品―沈鬱と偏執と緊張―
第11章 大雅指墨試論
第12章 結城・下館時代の蕪村画
第13章 蕪村の微光感覚
第14章 行路の画家蕪村―その旅立ち―
第15章 池田時代の呉春
Ⅲ
第16章 玉堂と酒
第17章 米山人伝小考
第18章 米山人と武陵桃源
第19章 竹田と画帖―大和文華館所蔵「翰墨随身帖」を中心に―
第20章 真景の理想化―竹田の山水図―
第21章 田能村竹田の勝利
第22章 関東南画の成立と展開
第23章 文晁と藍瑛
第24章 文晁の中国画学習―『顧氏画譜』と『漂客奇賞図』―
第25章 文晁の中国画学習―『書画甲観』と『集古十種』―
第26章 崋山と江戸絵画