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信毎選書

島崎藤村『破戒』のモデル 大江磯吉とその時代

著:東 栄蔵

紙版

内容紹介

文豪島崎藤村の小説『破戒』の主人公には実在のモデルがいた―。小諸義塾の教師として信州小諸に住んだ若き藤村の心を「ひどく動か」し、『破戒』を書かせる決定的動機となった大江磯吉とは何者なのか。南信州で被差別民として生まれ、貧窮の生活を送り、さまざまな受難と闘いながら、教育者への道を切り開いた磯吉が、みずから培った「忍と力」の哲学とは…。
本書は、磯吉が長野県、大阪府、鳥取県、兵庫県をひたすらに駆け抜けた先駆的な34年余の生涯像を地道に探究した評伝。2001年発行の『藤村の「破戒」のモデル 大江磯吉とその時代』に補筆改訂した新装版。藤村が小諸に赴任してから120年が過ぎた今、日本近代の文学史、部落史、教育史における“大江磯吉の生涯と思想”の再評価を試みる意欲作。

目次

1 藤村の小諸―大江磯吉の発見
 一 小諸義塾教師・島崎藤村
 二 『破戒』と大江磯吉
2 長野県時代の大江磯吉
 一 家族と生い立ち
 二 長野県師範学校から高等師範学校へ
 三 長野県尋常師範学校教諭時代
 四 教員講習会における差別事件
 五 大江磯吉の二人の教え子
3 大阪府尋常師範学校教諭時代
 一 大江磯吉の先駆的研究
 二 大坂での受難をめぐって
4 鳥取県尋常師範学校教諭時代
 一 鳥取師範における教育実践
 二 休職処分をめぐって
 三 人間として 教育者として
5 兵庫県柏原中学校長、三十四歳の死
 一 柏原中学校における学校運営
 二 大江磯吉の死をめぐって
 三 大江磯吉の生涯から学ぶもの

大江磯吉年譜

著者略歴

著:東 栄蔵
1924年10月長野市生まれ。早稲田大学専攻科修了。信濃毎日新聞社文化部記者、長野県高等学校長、長野女子短期大学教授、長野市民教養講座運営委員会代表兼講師、長野県国語国文学学会長、日本社会文学会理事、東日本部落解放研究所副理事長などを歴任。現在、島崎藤村研究会主宰、「信州文学館」設立発起人代表。
主な著書に『「破戒」の評価と部落問題(正・続)』『伊藤千代子の死』『人権感覚を深めるために』『鷹野つぎ――人と文学』『信州異端の近代女性たち』『信州の近代文学を探る』『信州の教育・文化をめぐって』『みすずかる 信州の文化とわが軌跡』『心の血縁を求めて』など。部落解放文学賞評論部門賞および山室静佐久文化賞受賞。

ISBN:9784784073290
出版社:信濃毎日新聞社
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1300円(本体)
発行年月日:2018年05月
発売日:2018年05月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNB