集真藍里
著:平鹿由希子
紙版
内容紹介
約30年ぶりの新詩集
でんでんこぼし でんこぼし
よめよめおきろ よめおきろ
あさなゆうなに ちゃをいれろ
あさねをするな ひるねをするな
せっちんそうじも わすれるな
(「せっちん怖い」)
「平鹿さんの詩を読んでいると、実際には経験していないはずの私が語りに引き込まれて同化するように〝里〟の時間に繫がれるから、その美しさとともに夥しい傷の記憶がなまなましく目の前に広がる。埋もれていても消えてなどいない。黙るしかなかったこと、届く先のなかった声を、平鹿さんの詩は今という時間に蘇らせて繫ぎながら、寿き、呪い、鎮魂する」(川口晴美)。紫陽花咲く家から駅までのいち里の道。古くから秋田の地に伝わる民話、伝承の数々。沈黙をやぶる、おんなたちの、封印された歌ごえ。装幀=中島浩