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21世紀の健康を考える 活性酸素と野菜の力

改訂増補版

著:前田 浩

紙版

内容紹介

「推薦の言葉」
名古屋大学名誉教授
愛知学院大学・人間総合科学大学 特任教授
大澤俊彦
「本書は、ストレス社会を健康に生き抜く食生活実践のために、最新科学に基づいた数々のデータを提示し、「スーパーケミカル」としての活性酸素を制御する「野菜の力」に新たな息吹を与えている。必読の書として強く推薦致します。」

★本書「発刊にあたってより」
本書のもとの版の『活性酸素と野菜の力―21 世紀の健康を考える』の
出版(2007 年)から、既に13 年が経ちました。その間、この本の発展
的なバージョンとして、科学的知識の裏付けを含めつつ読みやすい野菜
スープの啓蒙書(マキノ出版, 2017 年)を一般の方向けの書籍として上
梓したところ、多くの読者の方々から、より詳しい内容を知りたいとい
う声が再び届くようになりました。また、野菜の持つ総合的な価値を学
術的な裏付けを基に評価した書物もほとんど無いので、メディアからも
筆者にそれらのコメントや解説を求められる機会も多くなってきました。
その間、高度精製食用油の問題や、本書でも前にも触れてある野菜由
来の硝酸イオンや亜硝酸イオンの「ニトロソアミンになり発癌する」と
いう誤った学説は実は、それらが体内に吸収されるとニトロ化脂肪酸に
なり、ニトログリセリンと同様の作用を発揮し、それからNO(一酸化
窒素)が生成し、血管拡張作用による血圧の低下作用(抗高圧作用/降
圧作用)や、抗酸化作用、抗血栓作用(心筋梗塞予防)も発現すること
なども明らかにされています。
これまで、食べ物では、米穀類、肉や魚の栄養価値の重要性はよく知
られていましたが、野菜の持つ総合的な力はようやく認知されるように
なり、この著書は前述のスープ本の読者の方々から数多くの反響が寄せ
られ、それらの読者の反響は、例えば、抗糖尿病(予防)、抗メタボ、
抗高血圧、便秘解消、抗高コレステロールなどの作用に加え、さらには
美白関連や眼科領域、老人病、アンチエイジングから免疫など、予想を
遥かに超えています。
そのような状況にあって、本書の増補版の出版により、野菜の持つ総
合的な健康機能に対して、より正確で深い科学的知識の裏付けの欲しい
読者に、それなりの回答が出来れば幸いです。

目次

目   次
改訂増補の出版にあたって
はじめに
推薦のことば
1. 近代栄養学のパラダイムとパラドックス
―はじめに問題ありき―
 1.1 近代栄養学のはざまにある諸問題を考える
 1.2 試験管 vs. 生体内
2.「 ビタミン C は熱に弱い」の迷信
―野菜はスープが一番―
3. 古典化学を超える分子種とその状態:スーパーケミカルズ
―我々はそれから逃れられない―
 3.1 活性酸素と酸素ラジカル
 3.2 生体における酸素ラジカル生成系
4. 野菜の抗酸化成分は天の恵み
―心臓病の予防に野菜・果物・赤ワイン―
5. 炎症と発がん
―アスピリンのがん予防効果―
6. NOx とがん
―「一酸化窒素(NO)の明暗」循環器からがん予防まで―
 6.1 NO の功罪―生理学と病理学
 6.2 アミノ酸のアルギニンとNO―アルギニンの重要性
 6.3 感染・炎症による発がん―NO の多面性
 6.4 亜硝酸イオンの有用性―最近の知見
 6.5 野菜に含まれる亜硝酸イオン(NO2-)と
    硝酸イオン(NO3-)は敵か味方か?
7. ウイルス感染症と酸素ラジカル
―ウイルスよ、お前もか―
 7.1 インフルエンザウイルス
 7.2 インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの流行に
    関して
8. 発がんの普遍的メカニズム
―慢性感染/ 化学発がん剤/ 放射線の共通項は酸素ラジカル―
 8.1 ウイルスの慢性感染と発がん
 8.2 肝炎ウイルスのキャリアーと発がん予防
 8.3 化学発がん物質
 8.4 放射線
9. がん化の多段階説
 9.1 がんは一気にならない
 9.2 がん予防に野菜スープ
10. 大腸発がんと高脂質・高鉄分摂取との高い相関関係
―鉄分添加食の新たな問題―
11. 脂質過酸化物から悪玉の親分・脂質ラジカルの生成
―ヘム鉄の関与の重要性(問題)―
12. 高脂質食はすべて悪いか?
―リノール酸vs. オレイン酸―
13. ビタミンC とs―カロテンの大量摂取はがん予防にならない
―実験室モデルによるドグマの崩壊―
 13.1 ビタミンC
 13.2 ベータカロテン
 13.3 野菜でアンチエイジング―リコペンとルテイン
 13.4 かくれた黒幕的抗酸化成分―グルタチオン
14. 生活習慣・食生活とがん
―がんの7 割は避けられる?―
15. 環境汚染と食品の安全性
―オーガニックフードの隆盛―
 15.1 オーガニックフード隆盛の背景
 15.2 ポジティブリスト制度―農薬規制の新時代
 15.3 植物由来の有害成分
16. 残された問題/今後の課題―次世代栄養学と反栄養素―
 16.1 次世代栄養学と反栄養素―食品の機能性
 16.2 万病の予防は野菜から
   ―ビタミン以外にも有用成分の宝庫〈ファイトケミカル〉
 16.3 運動は薬だ!―体質改善と予防薬効果
 16.4 心の持ち方とがん治療・がん予防
あとがき
索  引

著者略歴

著:前田 浩
前田 浩  医博・農博
熊本大学名誉教授(医学)/ 大阪大学招聘教授/ 東北大学特別招聘プロフェッサー/(財)バイオダイナミックス研究所 所長
1962 年 東北大学農学部卒業
1964 年 カリフォルニア大学大学院修了(MS)(フルブライト)
1968 年 東北大学大学院 DC 修了(医学部細菌学)、同助手
    ハーバード大学ダナファーバー癌研究所主任研究員
1981 年 熊本大学医学部教授
1994 年 一般財団法人バイオダイナミックス研究所 理事長・所長
2004 年 熊本大学名誉教授、崇城大学薬学部教授
2011 年 崇城大学DDS 研究所 特任教授
2017 年 崇城大学退職
2017 年 大阪大学医学研究科 招聘教授、7 月 東北大学 特任教授
2020 年 東北大学特別招聘プロフェッサー
主な著書 
① 病気を理解するための生化学・生理学(第 2 版)、金芳堂、1998
② 最強の野菜スープ / マキノ出版, 2017 他多数

ISBN:9784782104507
出版社:幸書房
判型:A5
ページ数:215ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2020年10月
発売日:2020年10月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD