国境の村
紙版
内容紹介
◆第一句集
国境の村の魔除けのたうがらし
勤勉な汗の匂ひとすれ違ふ
少女のころから フランス語とフランス文化にしたしみ、グローバルな視野を育ててきたちあきさん
日本の風土と生活に根を下ろした今、独自の感性とスタイルを備えたちあきさんの俳句が育ちつつある――
(帯・行方克巳)
◆行方克巳抄出
春風といそつぷ橋を渡りけり
マフラーと詩を贈らるる誕生日
寒夕焼け口中にふと鉄の味
迷ひつつ紋白蝶のまだ迷ひ
コクリコや恋知り初めし頃のこと
青胡桃ひしめき合つて尖がつて
栗割ればモンマルトルの匂ひ立つ
勤勉な汗の匂ひとすれ違ふ
国境の村の魔除けのたうがらし
群れながらてんでばらばら夜の金魚