けものの苗
著:竹岡 一郎
紙版
内容紹介
◆第三句集
なつかしいものは、いつだって惨たらしい。産土も人間も積み上がった惨たらしさを抱えて、だからこそ、その惨たらしさを焼き尽くし、なつかしさを遠く離れ、生き変わり死に変わりを超えて、立ちたい。
(あとがきより)
◆収録作品より
雷を獲るものが独歩を轟かす
きらきらと眼の並びをる夜店かな
はんざきが食むもののふの嚙み応へ
夕虹も腕もねぢられるためにあつた
水母は灯七歳までは神のうち
亀鳴くや保土ケ谷の灯の潤みやう
春待つや猫を交互に抱く男女