百の蝶
高浦銘子句集
著:高浦 銘子
紙版
内容紹介
◆第三句集
〈二つ折りの恋文が、花の番地を捜している。〉
蝶、というとルナールのこの一行を思う。
恋文とは言わずとも、
私の書いた一句が
どこかの番地に住む
だれかのもとに
届くことはあるだろうか。
(あとがきより)
◆自選十二句より
をとこありけり百本の梅植うと
繭干してうすきひかりの信濃かな
明易し古き映画に古き恋
星深く沈めてしづかなる泉
万緑とさびしき町と隣り合ふ
日のすでに秋日となりて膝の上
白露とふことばこころにころがしぬ
船帰りゆく秋の虹立つところ
あつけなく嫁ぎゆきしよ石蕗の花
木の実落つ伯林に壁ありし頃
目次
地の章 5
水の章 51
火の章 83
風の章 127
空の章 171
あとがき