鳥船
著:鈴木 多江子
紙版
内容紹介
◆第二句集
菩提樹の樹魂のあげし夏満月
歳月とは命をのせる器であり、時空でもあろう。作者は思ったより吟行に魅せられているようだ。折々の邂逅によって喚び起こされた言葉が、詩となる一瞬のときめき。『鳥船』の飛翔力はまさにその時にこそあるといえそうだ。
(鈴木太郎)
◆自選十五句より
てのひらの中に海あり蝶の昼
鈴虫や壺のかたちの失せにける
天日を鳶の流るる麦の秋
業平も旅に痩せしか夕野分
だんだんに寄り目になるぞ青葉木菟
太陽を殖やして稲の稔りけり
花びらは牡丹なりけり鯉の水
忽然とわが齢あり大桜
完結は愉悦のかたち晩白柚
ピアノ鳴る耳の中まで大枯野
目次
伏姫桜 平成十五年 ~十八年 5
伎芸天 平成十九年 ~二十年 31
青葉木菟 平成二十一年~二十二年 55
歩き神 平成二十三年~二十四年 93
菩提樹 平成二十五年~二十六年 117
春満月 平成二十七年~二十八年 151
あとがき