椰子の木
渡井佳代子句集
著:渡井 佳代子
紙版
内容紹介
◆第一句集
笹鳴きや折あるたびに開く文
心あたたまる手紙だろう。恋文かもと思わせるのは、「笹鳴き」があるからだ。
水中花を植物のように見、虫売りが闇をふくらませ、ささやきかけるような文など、微妙な勘定を織りまぜた作風が著者の特徴といえよう。
(帯より・鷹羽狩行)
◆田口紅子抽出十句
繭玉の揺らぐは座敷童とも
松飾りはづして家の軽くなり
くれなゐの穂先ほぐるる牡丹の芽
せせらぎのひかりにまぎれ薄氷
衣更へてこころもとなき膝がしら
登りきて標高千の捕虫網
青き影曳きてくちなは横切りぬ
門の外まで散らかして松手入
笹鳴きや折あるたびに開く文
椰子の木を明滅させて除夜花火
目次
椰子の木/目次
序 句 鷹羽狩行
鑑賞三句 鷹羽狩行
平成七年~九年 9
平成十年~十二年 25
平成十三年~十五年 49
平成十六年~十八年 71
平成十九年~二十一年 89
平成二十二年~二十四年 109
平成二十五年~二十七年 141
あとがき