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ファインケミカルシリーズ

医薬品製剤化方略と新技術 Ⅱ《普及版》

監:竹内 洋文

紙版

内容紹介

2013年刊「医薬品製剤化方略と新技術Ⅱ」の普及版。各メーカーの製剤技術とそれを支える医薬品添加剤、製剤機械の紹介と今後求められる「人に優しい製剤設計」の研究・開発を解説している。

目次

第 I 編 総論 現代の製剤開発に求められること

第1章 日本薬局方の改正、製剤技術の動向   
1 日局16に規定される剤形
2 医薬品添加剤の活用のために
2.1 滑沢剤
2.2 崩壊剤
3 現代の製剤技術

第2章 高齢者・小児向けの製剤設計、服薬における課題と解決とPLCM   
1 はじめに
2 口腔内崩壊錠
2.1 口腔内崩壊錠等の潮流
2.2 口腔内速崩壊錠として満たすべき条件
2.3 口腔内崩壊錠の成形技術
2.3.1 第一世代-鋳型錠
2.3.2 第二世代-湿製錠
2.3.3 第二世代-湿潤・乾燥錠
2.3.4 第三世代-通常の打錠法
2.3.5 第四世代-微粒子コーティング技術等
2.4 評価方法
2.4.1 錠剤強度
2.4.2 崩壊時間
2.4.3 官能試験
2.5 使用者による評価とメリット・デメリット
3 呑み易くした薬―口腔内崩壊フィルム
4 呑み難い薬を呑み易くする-嚥下補助ゼリーとGT剤

第3章 高齢者にやさしい口腔内崩壊錠の製剤設計
1 はじめに
2 OD錠の定義
3 OD錠の技術的な分類
4 EMP速崩錠の開発経緯
5 EMP速崩錠の開発
5.1 EMP速崩錠の処方検討
5.1.1 糖類の選定
5.1.2 結合剤の選定
5.1.3 薬物の影響
5.2 湿潤粉体打錠機(Eisai Molded Tableting Machine:EMT)の開発
5.2.1 加圧定量充填機構
5.2.2 フィルム介在打錠機構
6 EMP速崩錠の製品化事例
7 おわりに

第4章 ジェネリック医薬品の製剤開発-エルピナン®DS小児用1%「トーワ」の開発を例に-
1 はじめに
2 小児用ドライシロップの開発コンセプト
3 エルピナンDS小児用1%「トーワ」製剤設計
3.1 先発製剤の情報
3.2 苦味マスキング粒子設計
3.3 ドライシロップの設計
4 官能評価
4.1 味、服用感
4.2 飲食物との組み合わせ
5 安定性
5.1 加速試験結果
5.2 無包装状態における安定性試験結果
5.3 溶解後の安定性試験結果
5.4 他剤および飲食物との配合変化試験結果
6 生物学的同等性試験
6.1 溶出試験
6.2 ヒトでのBE試験
7 おわりに

第 II 編 新しく局方に入った剤形の設計戦略

〈口腔内崩壊錠〉
第1章 口腔内崩壊錠化のための塩析マスキングシステム   
1 はじめに
2 塩析マスキングシステムの設計
3 薬物放出機構の推測
4 ベシケアOD錠の創製

第2章 セチリジン塩酸塩OD錠の開発コンセプトと製剤設計   
1 はじめに
2 味覚設計
2.1 苦味マスキング
2.2 おいしさの設計
3 OD錠部の処方設計
4 製剤特性
5 生物学的同等性
6 おわりに

第3章 口腔内崩壊錠の苦味マスキング
-乳酸Caのマスキングと味覚センサによる評価- 
1 はじめに
2 味覚センサについて
3 OD-mateについて
4 実験方法
4.1 ヒト官能試験と味覚センサによる苦味評価
4.2 苦味マスキングメカニズム推定の検討
4.3 ドネペジル塩酸塩OD錠の調製
5 結果および考察
5.1 ヒト官能試験と味覚センサによる苦味評価
5.2 乳酸Caの苦味マスキングメカニズムについて
5.3 ドネペジル塩酸塩含有OD錠のヒト官能試験および崩壊時間
6 まとめ

<吸入剤>
第4章 気管支喘息と吸入療法 
1 はじめに
2 喘息予防・管理ガイドラインにおける気管支喘息の段階的薬物療法
3 吸入療法
3.1 薬理学的特徴
3.1.1 吸入ステロイド
3.1.2 ICS/LABA配合剤
3.1.3 短時間作用性吸入刺激薬(SABA)
3.2 製剤としての特徴 デバイス/粒子径
3.2.1 ドライパウダー製剤(DPI)
3.2.2 加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)
3.2.3 ネブライザー
4 おわりに

第5章 吸入剤・吸入デバイス設計のための留意点
1 はじめに
2 吸入剤の特徴と課題
2.1 加圧式定量噴霧エアゾール剤(pMDI):吸入エアゾール剤
2.2 吸入液剤
2.3 粉末吸入剤(DPI)
3 粉末吸入システムの設計のための基礎知識
3.1 肺の構造と機能
3.2 肺分布に影響を及ぼす製剤学的要因
3.3 肺分布に影響を及ぼす生理学的要因
4 粉末吸入システムの設計の具体例:ODPIシステムの開発
4.1 ODPIシステムの特長
4.1.1 製造方法及び製剤の形態
4.1.2 デバイス
4.1.3 性能評価(吸入流量依存性の評価)
5 あとがき
 
<ゼリー剤>
第6章 アリセプト内服ゼリーの開発 
1 はじめに
2 患者に求められる製剤の開発
2.1 医療者・介護者による剤形評価
2.2 リハビリテーション医師らによるゲル化剤の評価
2.3 高齢者におけるゼリーの嗜好調査
2.4 カップ形状の最適化
3 苦味および痺れのマスキングと味の評価
3.1 苦味・痺れマスキング剤の選定
3.2 味に関する安定性試験およびマスキング効果の検証
4 製剤の安定化
5 溶出プロファイル
6 市販後の医療現場における評価

第7章 経口ゼリー剤の製剤設計と開発     
1 はじめに
2 国内における経口ゼリー剤の沿革
3 経口ゼリー剤の特徴
3.1 メリット
3.2 デメリット
4 製剤設計における主な留意点
5 一般用医薬品の小児用かぜ薬開発事例
5.1 コンセプト
5.2 製剤設計
5.2.1 製剤pH
5.2.2 ゲル化剤の選定
5.2.3 苦味マスキング
5.2.4 包装形態
5.2.5 微生物
5.3 製剤品質と安定性
6 おわりに

第 III 編 製剤化方略の最先端―今後の製剤を見据えて―

<固形製剤設計の新展開>
第1章 難溶性医薬品候補化合物の創薬研究~市販製剤化を支援するユニバーサル粉砕技術の開発  
1 はじめに
2 開発のあらゆる段階に適用できる難溶性改善技術の必要性
3 湿式粉砕技術による溶解性の改善
3.1 創薬研究における湿式粉砕の利用
3.2 臨床製剤および市販製剤の開発へ向けた湿式粉砕法の適用


第2章 医療用配合剤の製剤設計の現状と展望  
1 はじめに
2 医療用配合剤の製剤設計
2.1 原薬
2.2 配合剤開発における治験薬供給の特殊性
2.3 配合剤の製剤設計方針
3 医療用配合剤の製剤開発の実例 -レザルタス配合錠製剤開発-
3.1 複層錠でのコンタミネーション防止
3.2 服用性・取り扱い易さを考慮した製剤の形状選択
3.3 オルメサルタン メドキソミルのにおい低減、アゼルニジピンの光安定性向上のためのフィルムコート
4 医療用配合剤の生物学的同等性ガイドライン
5 医療用配合剤の展望


第3章 口腔錠用フィルムコーティング技術   
1 開発の背景
2 フィルム処方設計の課題
3 フィルム処方の設計
4 実用化検討およびスケールアップ
5 まとめ

第4章 打錠技術としてのOSDrC(オスドラック)の付加価値製剤への応用
1 はじめに
2 OSDrC(オスドラック)技術とは?
3 製剤設計におけるOSDrC技術およびOSDrC錠の優位性
4 「2つの内核層を持ち、割錠後も有核錠であり続ける錠剤」への応用
5 「有核型オブロング錠」への応用
6 まとめ

第5章 経口吸収理論に基づいた製剤方略試論  
1 はじめに
2 経口吸収の基礎理論
3 収経口吸の律速段階による分類
3.1 溶出速度律速と溶解度膜透過律速の判別方法
3.2 非攪拌水層律速と上皮細胞律速の判別方法
4 食事(胆汁ミセル)の影響の理論的予測
5 製剤方略の考察
6 製剤方略各論
6.1 ナノミル製剤
6.2 過飽和原薬および製剤
7 経口吸収シミュレーション研究の問題点 ~ 今後の発展のために
8 まとめ

<素材・包装材・デバイス開発>
第6章 新規医薬品添加剤の潮流
1 はじめに
2 新添加物の分類
2.1 新規の構造を有する
2.1.1 Soluplus(BASF自社規格)
2.2 構造(一般名)は同じだが、性状が異なる
2.2.1 結晶セルロース(日本薬局方収載品)
2.2.2 クロスポビドン(日本薬局方収載品)
2.3 既存品のプレミックス・コプロセス工程を有する
3 新添加物の使用に伴う薬事対応
3.1 新規の構造を有する
3.2 構造(一般名)は同じだが、性状は異なる
3.3 既存品のプレミックス・コプロセス工程を有する
3.4 一日最大量を超える
3.5 処方目的・経路が異なる
4 まとめ

第7章 生物学的製剤及びBCSクラスⅢ/Ⅳ薬物の経口製剤化 
1 はじめに
2 概要
3 スタンダードモジュール
3.1 Gastrointestinal targeting(GIT)
3.2 Absorption Promoter(AP)
3.3 Enzymatic Protection(EP)
3.4 Muco compatibility(MC)
4 アドバンスドモジュール
5 In-vivo試験
6 結論

第8章 進歩する医薬品包装 
1 はじめに
2 ハンディキャップを持った患者の服薬を支援する包装
2.1 手指機能に障害のある患者
2.2 視覚機能に障害のある患者
2.3 嚥下機能に障害のある患者
3 素材開発の未来
4 ハイブリッド化による技術の融合
4.1 服薬コンプライアンスと医療経済について
4.2 包装技術におけるソリューション
4.3 モニタリング包装の効果
5 おわりに

第9章 防腐剤フリーを可能にした点眼用NP容器の開発
1 はじめに -点眼剤と点眼容器-
2 点眼剤の防腐剤とその影響
3 NP容器 (None-Preservative Multi-dose Container) の開発
4 NP容器の微生物汚染に対する評価
4.1 実使用を想定した条件での評価
4.1.1 試験サンプルと評価条件
4.1.2 微生物汚染度の評価部位と確認方法
4.1.3 結果
4.2 菌液を吸引させた条件での評価
4.2.1 試験サンプルと評価条件
4.2.2 微生物汚染度の評価部位と確認方法
4.2.3 結果
4.3 ウサギ涙液を吸引させた条件での評価
4.3.1 試験サンプルと評価条件
4.3.2 微生物汚染度の評価部位と確認方法
4.3.3 結果
5 NP容器を使用した製品における微生物汚染の評価
5.1 評価方法
5.2 結果
5.3 結論
6 おわりに

第IV編 製剤設計と機器開発

第1章 錠剤コーティング装置の設計コンセプト 
1 はじめに
2 錠剤コーティングの目的
3 錠剤コーターの変遷
3.1 傾斜型コーティングパン
3.2 垂直型コーティングパン
3.3 水平型コニカルパン
3.4 水平型ロングパン
4 錠剤コーティングの要素技術
4.1 フィルムコーティング
4.2 糖衣コーティング
5 ハイコーターFZ装置の開発
5.1 全周パンチングパンの採用
5.2 大型給気チャンバーおよび大口径マウスリングの採用
5.3 大容量スプレーガンの開発
5.4 マルチファンクションホルダーの採用
5.5 糖衣用パン冷却システム
6 コーティング事例
6.1 フィルムコーティング事例
6.2 糖衣コーティング事例
7 おわりに

第2章 スケールアップが容易な錠剤コーティング装置の開発 
1 はじめに
2 装置の設計コンセプトについて
2.1 相似性原理と同一性原理による比較
2.2 ドラム形状と風量設計の最適化
2.3 通気機構について
2.4 スプレーノズルの最適化
3 スケールアップ確認テスト
4 まとめ

第3章 処理杵による打錠障害回避 
1 はじめに
2 スティッキング
2.1 スティッキングの発生におよぼす要因
2.2 スティッキングを検出する方法
2.2.1 スクレーパー圧の測定
2.2.2 CCDカメラによる観察・検出
2.2.3 錠剤表面の粗さ測定
2.2.4 定量による評価・分析
2.2.5 AFMによる付着力の測定
2.2.6 色差計による評価・検出
2.2.7 表面自由エネルギーによる予測
2.3 スティッキングの回避策
3 表面処理杵の効果とその評価
4 おわりに

第4章 医薬品原料におけるHot Melt Extrusion技術 
1 はじめに
2 装置の特徴
3 固体分散体の調製
4 おわりに

第V編 分析・評価・品質保証

第1章 これからの製剤における品質保証    
1 はじめに
2 ICH Qトリオ誕生までの歴史
3 ICH Qトリオの求めるもの
4 Qトリオの導入・実践スケジュール
5 リスクの洗い出し
6 リスクコントロールの一例
7 デザインスペース設定の一例
8 おわりに

第2章 トラブルの原因追求ツールとしての製剤解析技術 
1 はじめに
2 製剤開発におけるトラブルおよび原因追求ツール
3 2次元評価技術の事例紹介
3.1 錠剤のロット間での溶出挙動の相違
3.2 錠剤の経時的な溶出挙動の変化
4 3次元評価技術の事例紹介
4.1 錠剤の打錠時の張り付き現象(スティッキング)
4.2 乾燥工程での原薬の染出し現象(マイグレーション)
5 おわりに

第3章 味覚センサーの設計と苦味抑制製剤への活用 
1 はじめに
2 味覚センサー
2.1 開発の背景
2.2 応答原理および測定系
2.3 測定手順
3 センサーによる薬物の苦味評価
3.1 苦味センサーBT0の開発
4 医薬品測定に関するアプリケーション
4.1 薬物の苦味評価
4.2 薬物の苦味閾値推定
4.3 難溶性薬物の苦味評価
4.4 高甘味度甘味料による苦味抑制評価
4.5 医薬品の苦味評価事例

第4章 口腔内速崩壊錠用崩壊試験機・トリコープテスタ
1 はじめに
2  新規崩壊試験法
2.1 基本原理
2.2 新規崩壊試験法の装置化
2.3 装置外観
2.4 測定の流れ
2.5 試験液成分
2.6 液滴滴下部詳細
2.7 メッシュ部詳細
2.8 試験液滴下速度・温度安定化対策
3 データの妥当性評価
4 装置の特徴
4.1 操作部・データ閲覧画面
4.2 データ収録ソフト
4.3 操作性の評価
4.4 基本仕様
5 おわりに

ISBN:9784781313931
出版社:シーエムシー出版
判型:B5
ページ数:255ページ
定価:4600円(本体)
発行年月日:2020年01月
発売日:2020年01月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MQP