わが心、高原にあり
著:野里 征彦
紙版
内容紹介
「ほれ、佳乃も来い。皆で踊んべやー」
耕さんが踊りに加わりながら手招きをすると、佳乃さんも来て加わった。
「十五夜のー、月は出べし山を見上げで、それ踊りゃれー、吾が連れづれー」
「はあー、ダダスコダー、ダダスコダー、ダンダンダダスコ、ダダスコダーダー」
四人は輪になって踊った。
月の光に照らされた高原は、影踏みができそうなほど明るかった。(本文より)
震災後文学に異彩を放つ作品。『民主文学』2020年1月~9月に連載された。
第23回長塚節文学賞(2020年)短篇部門大賞受賞作『鱒』を併載する。