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日中文化のトランスナショナルコミュニケーション

コンテンツ・メディア・歴史・社会

監:江藤 茂博
監:牧角 悦子
他編:松本 健太郎

紙版

内容紹介

人・モノ・資本・情報のトランスナショナルな移動が加速し新たな局面を迎えた日本と中国との文化交流を両国の研究者たちが論じる。
「コンテンツ」と「メディア」,あるいは「歴史」と「社会」という視座に立脚しながら,両国の大衆文化をめぐる越境的流通に焦点を当てる。

目次

まえがき:日中文化のトランスナショナルコミュニケーション(江藤 茂博)
本書の刊行にあたって(松本 健太郎)

第Ⅰ部 「コンテンツ」と「メディア」からみる日中文化のトランスナショナルコミュニケーション

01 中国の国産アニメとその発展のプロセス:日本アニメの影響を中心に(范 周/訳・周 潭)

1 はじめに
2 中国における日本アニメ産業の伝播と影響
3 日中アニメ産業の発展に関する比較分析
4 中国アニメ産業における日本アニメ産業の経験と啓発
5 アニメ産業チェーンの推進と,アニメ文化のIPブランドの拡大

02 戦後日本のアニメにおける『西遊記』のアダプテーション:キャラクターの変容とテーマの変奏をめぐって(秦 剛)

1 はじめに
2 手塚治虫が西遊記アニメにもたらしたもの
3 悟空の幼児化と成長拒否
4 平成の幕開けに追憶された『鉄扇公主』
5 自爆する孫悟空
6 結びにかえて

コラム:「浙江省日本語演劇大会」の概要(呉 玲/訳・久保 輝幸)

03 中国市場における「日本動漫」:「中国動漫」の発展状況と比較しながら(沈 浩)

1 はじめに
2 日本と中国の動漫文化
3 中国における「日本動漫」流行の三段階
4 今後の展望

04 日中両国のコロナ禍における映画の劇場配給:ネット配信への移行とその原因の探求(劉 心迪)

1 はじめに
2 日中両国のネット配信移行の映画比較
3 劇場配給からネット配信への移行の背景に存在する内外の推進力
4 結びにかえて

05 中国における日本のギャグマンガの受容と拡散:メディア環境の変化という視点から(楊 駿驍)

1 はじめに
2 ギャグマンガとアニメ受容の原理的な難しさ
3 2010年以降の急速なギャグマンガやアニメの受容
4 『ギャグマンガ日和』の特徴
5 「中国版『ギャグマンガ日和』」とその広がり
6 メディア環境の大きな変化
7 おわりに

06 中国における日本のライトノベルの受容について(張 文穎)

1 はじめに
2 ライトノベルとの出会い
3 挫折と試練
4 中国ライトノベルの全盛時代
5 おわりに

コラム:ライトノベル的想像力の越境(李 原榛)

07 中国ゲーム史における日本産ゲームの位置:ゲーム誌『ゲームソフト』を中心に(鄧 剣)

1 はじめに
2 日本産ゲームと中国産ゲーム雑誌の誕生
3 『ゲームソフト』のなかの日本産ゲーム
4 アイデンティティおよび文化的反抗
5 「日本産ゲーム時代」の終了

コラム:日中間におけるコンテンツ翻訳の現状紹介(金子 真生)

08 ゲームのなかで,人はいかにして「曹操」になるのか:「体験の創出装置」としてのコンピュータゲーム(松本 健太郎)

1 コンピュータゲームによる「体験の創出」
2 「三国志」における体験のシミュレーション
3 ゲームの変換回路:インプットの過少性/アウトプットの過多性
4 「抵抗の機械」としてのコンピュータゲーム
5 デジタル時代における体験のシミュレーション

コラム:山海経GO(松浦 史子)

第Ⅱ部 「歴史」と「社会」からみる日中文化のトランスナショナルコミュニケーション

09 図像から考える日中欧の医学交流:江戸後期の状況を題材に(ヴィグル・マティアス)

1 はじめに
2 『飲食養生鑑』と『房事養生鑑』にみる視覚表現の変化
3 石坂宗哲の『栄衛中経図』はどう理解されたのか
4 経絡図・銅人形の日本的発展とその役割
5 結びにかえて

10 近藤勇と関羽:幕末の剣豪と「三国志」の出会い(伊藤 晋太郎)

1 はじめに:関羽に心酔していた近藤勇
2 近藤勇が夢中になった「三国志」の本
3 江戸文化の中の「三国志」と関帝信仰
4 結びにかえて

11 清国留日学生が創刊した『農桑学雑誌』について(王 怡然)

1 はじめに
2 『農桑学雑誌』の書誌
3 『農桑学雑誌』の内容
4 『農桑学雑誌』の執筆者
5 『農桑学雑誌』の翻訳
6 おわりに

12 『地球の歩き方 中国』における「旅」から「観光」,そして文化伝播の痕跡(江藤 茂博)

1 はじめに
2 文化の伝播の新しいかたち
3 『地球の歩き方』と『るるぶ』が示す「旅」から「観光」へ
4 『地球の歩き方 中国』で表象される「旅する上海」
5 『地球の歩き方 中国』で表象される「観光する上海」

コラム:中国朝鮮族における延辺テレビの意味(李 文哲・朴 銀姫)

13 アジアにおける現代アートと現代観光の出会いについて:韓国釜山,甘川洞におけるアートツーリズムの実践を中心に(須藤 廣)

1 はじめに 
2 現代アートと観光との出会い
3 韓国釜山のコミュニティアートと観光
4 おわりに

コラム:安徽省における日本料理店(黄 碧波)

14 中国における日本のゆるキャラの受容(林 茜茜)

1 はじめに
2 日本におけるゆるキャラの歴史
3 中国に進出する日本のゆるキャラ
4 中国のマスコットにみられる日本のゆるキャラの影響
5 結びにかえて

コラム:『和華』(王 怡然)

15 中国のシェアリング自転車をめぐる社会事情について(楊 爽)

1 はじめに
2 主なシェアリング自転車のブランド
3 レンタル自転車の現状
4 レンタル自転車の問題
5 問題の解決策と展望
6 おわりに

コラム:中国人インバウンド客への電子決済対応(平崎 真右)

16 越境文化としての化粧:チャイボーグにみる日中間トランスナショナルコミュニケーション(廖 静婕・高馬 京子)

1 はじめに
2 中国におけるファッション誌と化粧文化
3 中国における化粧の発展史(1980年代以降)
4 中国ファッションメディアにおける中国メイク
5 日本ファッションメディアにおける中国メイクの受容と表象
6 現代の化粧をとおしてみる日中文化のトランスナショナルコミュニケーション

コラム:ランゲージパートナーとの越境的コミュニケーション(劉 麗)

あとがき(牧角 悦子)

著者略歴

監:江藤 茂博
二松学舎大学文学部教授・学長。最近の業績に,『読む流儀――小説・映画・アニメーション』(言視舎,2020),『講座 近代日本と漢学 第二巻 漢学と漢学塾』共編(戎光祥出版,2020),『講座 近代日本と漢学 第八巻 漢学と東アジア』編(戎光祥出版,2020)などがある。
監:牧角 悦子
二松学舎大学文学部長,文学部中国文学科教授,三国志学会副会長,儒教学会理事,六朝学術学会評議員・理事。おもな業績に『経國と文章――漢魏六朝文学論』(汲古書院,2018),『詩経・楚辞』(角川文庫,2012),『中国古代の祭祀と文学』(創文社,2006),『列女伝――伝説になった女性たち』(明治書院 2001)などがある。
他編:松本 健太郎
二松学舎大学文学部都市文化デザイン学科教授,日本記号学会理事,観光学術学会理事,日本コミュニケーション学会理事。おもな業績に『デジタル記号論――「視覚に従属する触覚」がひきよせるリアリティ』(新曜社,2019),『ロラン・バルトにとって写真とは何か』(ナカニシヤ出版,2014)などがある。

ISBN:9784779515965
出版社:ナカニシヤ出版
判型:A5
ページ数:256ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2021年03月
発売日:2021年09月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB