責任ある科学技術ガバナンス概論
著:標葉 隆馬
内容紹介
よりよい科学技術・イノベーションのために
科学技術政策の現状と課題、科学技術研究と社会のコミュニケーション、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)と責任ある研究・イノベーション(RRI)など、「科学技術と社会」に関わるテーマを包括的に解説。
目次
はじめに
第Ⅰ部 科学技術政策
第1章 科学技術政策という視点
1 「科学技術政策」の登場
2 アメリカの科学技術政策枠組み
――歴史と概況
3 欧州委員会における近年の科学技術政策枠組み
――ホライズン2020を中心として
4 ホライズン2020からホライズン・ヨーロッパへ
5 欧州委員会の政策議論における工夫
【コラム1】欧州における学協会と大学の成立
【コラム2】標準と標準化
第2章 日本の科学技術政策
――経緯、現在、課題
1 日本における科学技術政策
――1970年代と1980年代における展開
2 日本における科学技術政策
――現在の科学技術政策枠組みの誕生
3 科学技術政策から科学技術イノベーション政策へ
――その展開、課題、今後
【コラム3】日本における科学技術の制度化
第3章 日本の研究評価の現在と課題
1 科学研究ガバナンスと研究評価
2 研究評価を議論する前に
3 日本における研究評価の制度化前夜
4 科学技術基本計画と研究開発評価の制度化
5 日本におけるファンディングシステムの変化と研究状況
6 日本におけるファンディング構造の変化と評価システムへの影響
7 日本の研究評価システムにおける課題
8 研究評価による研究活動への影響
【コラム4】ピアレビュー
【コラム5】研究評価の量的指標をめぐる国際的な議論
――ライデン・マニュフェストをはじめとして
第Ⅱ部 科学技術と社会
第4章 「科学技術と社会」の視点
――コミュニケーションとフレーミング
1 科学コミュニケーション小史(PUSからPESTへ)
――イギリスの事例に注目して
2 イギリスの経験からの教訓
――BSEをめぐる騒動とGM Natoin? The Public Debateの事例
3 「科学技術と社会」をめぐる議論の国際的な流れ
4 欠如モデルを超えて
5 科学技術をめぐるフレーミング(問題枠組み)の違い
6 日本の事例
――北海道GM条例にみるフレーミングのすれ違い
7 日本の事例
――フードナノテクとゲノム編集作物に関するフレーミングの収集事例
8 フレーミングと政策形成
【コラム6】「社会的な懸念に対する評価」枠組み
第5章 日本の科学コミュニケーション
1 日本における展開
2 日本で行われている科学コミュニケーション活動の例
3 日本における「市民参加」の登場と政策形成
4 さらに最近の対話実践に関わる取り組みと研究
5 科学コミュニケーションと「市民参加」における課題
第6章 科学技術をめぐる意識とコミュニケーションギャップ
――日本再生医療学会調査の事例から
1 コミュニケーションにおける関心の違いを可視化する
2 調査データの概要
3 回答者に関する基礎情報
4 再生医療をめぐる認知
5 再生医療をめぐる関心の所在
6 再生医療をめぐる社会的制度や事件に関わる認知
7 本調査から得られる含意
第7章 科学コミュニケーションと研究者の現状
――制度的課題
1 研究者と科学コミュニケーション活動
2 研究者のコミュニケーション活動参加を阻むものは何か?
3 コミュニケーション活動への参加意思
4 コミュニケーション参加をめぐる回答の比較分析
5 科学コミュニケーションの対象は誰か?
6 科学コミュニケーション活動における科学技術政策的課題
第8章 科学技術をめぐる報道
――バイオテクノロジー報道の事例から
1 バイオテクノロジーとメディア報道
2 欧州のバイオテクノロジー報道に関わる研究
3 アメリカのバイオテクノロジー報道に関わる先行研究
4 日本におけるバイオテクノロジー報道の分析事例
5 幹細胞・再生医療研究をめぐるメディア報道
――熱狂と周辺化する「倫理問題」
6 科学技術報をめぐる研究者コミュニティと社会との「間」
第Ⅲ部 責任ある科学技術ガバナンスのために
第9章 インパクト評価をめぐる議論の現在と課題
1 インパクト評価という視点
2 インパクト評価の基本的な考え方
3 インパクト評価をめぐる日本における議論
4 欧州委員会におけるインパクト評価の展開
5 インパクトを評価する
――アメリカにおける議論
6 イギリスにおけるインパクト評価
――REFにおける事例とインパクト・パスウェイ
7 インパクト評価の新しい試み
8 研究者のインパクト理解と活動を広げること
9 インパクトと社会技術的想像
第10章 科学技術研究に関わる倫理的・法的・社会的課題(ELSI)
1 科学技術ガバナンスとELSI
2 幹細胞・再生医療研究の事例からみるELSI的関心
3 ヒト動物キメラをめぐる意識の差異からみえるELSI的含意
4 卵子・胚・胎児をめぐる生命倫理的観点
5 ELSIからRRIへ
【コラム7】生命の市場化
【コラム8】「生‐資本」論
第11章 責任ある研究・イノベーション(RRI)という実験
1 責任ある研究・イノベーション(RRI)
2 RRIをめぐる議論
3 RRIをめぐる評価基準の議論
4 RRIをめぐる課題
5 RRIと教育
6 ELSI/RRIと学術コミュニティ
【コラム9】デュアルユースをめぐる事例 インクテル
【コラム10】学会におけるデュアルユース関連言及の事例
おわりに――責任ある科学技術ガバナンスのために
ブックガイド――さらに学びたい人のために
●著者紹介
標葉隆馬(しねは りゅうま)
1982年生まれ。京都大学農学部応用生命科学科卒業、京都大学大学院生命科学研究科博士課程修了(生命文化学分野)。博士(生命科学)。総合研究大学院大学先導科学研究科「科学と社会」分野・助教、成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科・准教授などを経て、現在、大阪大学社会技術共創研究センター・准教授。専攻は、科学社会学・科学技術社会論・科学技術政策論。
ISBN:9784779514845
。出版社:ナカニシヤ出版
。判型:A5
。ページ数:324ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2020年06月
。発売日:2020年06月30日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ。