出版社を探す

ネット時代の手紙学

著:宮田 穣

紙版

内容紹介

現在は、いつでも、どこでも、誰とでもコミュニケーションができるようになったと言われるが、実は情報のやり取りが簡単になっただけであり、自己中心的に楽しめる道具に無意識に反応しているだけではないのか。
インターネットが日常化するに従い、コミュニケーションは表層的で情報量だけが肥大化し、その内容をじっくり吟味したり考えたりする余裕は失われてしまう。その中で、はたして身近な家族、職場、学校などでの人間関係は以前よりよくなったのだろうか。
デジタルネイティブと呼ばれる若者の中には手紙を書いたことがないという者もいるというが、コミュニケーションツールとして何世紀にもわたり育まれてきた手紙を改めて考える試み。
手紙が持つ豊かなコミュニケーション力とは何か。現在にも生きる手紙の魅力とは何か。なぜ手紙は生き残り続けられるのか。これからの時代の中でどのような意義を見出せるのか。手紙ならではの「コミュニケーション価値」を再発見する。

目次

第1章 メディアとしての手紙
   手紙の歴史から見えるもの/手紙ならではのメディア特性とは/人は手紙にどのような魅力を感じるか/
   現代小説のモチーフとしての手紙/手紙利用の壁と可能性
第2章 ネット調査から見える手紙の現状
   ネット社会の中の手紙(①最近一年以内の(年賀状を除く)手紙の活用 ②減り続ける年賀状 
   ③「手書き」へのこだわりは意外と見られる ➃手紙へのさまざまな意識、考え方
   ➄魅力と使いづらさの関係 ⑥ネット社会で、手紙教育は必要か)/調査結果が示唆すること/
   手紙の書き方は決まっているのか/そもそも「手書き」が減っている/若い女性が支える手紙の可能性
第3章 生き続ける手紙の世界一――非日常の手紙
   現代に見る手紙の世界/手紙コンクールは意外と続いている(①「日本一短い手紙 一筆啓上賞」
   ②「愛の手紙」 ③「千の風になったあなたへ贈る手紙」 ➃「つたえたい、心の手紙」/
   手紙はアートだ(①漂流郵便局 ②水曜日郵便局)
第4章 生き続ける手紙の世界二――文通の世界
   今も続く文通の世界/文通村/青少年ペンフレンドクラブ(PFC)/絵手紙友の会/
   手紙は時空間を超える
第5章 手紙のコミュニケーション分析
   前提となる考え方/機能分析(①表現性 ②関係性 ③保管性 ➃時間性)/価値分析(①分身化 
   ②心の会話 ③習慣化)/善意のコミュニケーション/等身大コミュニケーション
第6章 不易な手紙力
   心のサプリ/心の社会インフラ/手紙道/手紙を作法として学ぶ/コミュニケーションの基礎
第7章 言葉と向き合う生活
   手紙と言葉/「ことば」を生かしたまちづくり/言葉を味わうということ/文通のススメ/
   二刀流のコミュニケーション・ライフ
あとがき

著者略歴

著:宮田 穣
相模女子大学 人間社会学部 社会マネジメント学科 教授
1959年金沢市生まれ。1983年一橋大学社会学部卒業後、大手印刷会社、教育出版社で、マーケティング・編集・調査・研究・広報など多様なキャリアを蓄積。仕事の傍ら、1999年東京経済大学大学院コミュニケーション学研究科に社会人入学。研究を重ね、2004年博士課程修了、博士号取得(コミュニケーション学、日本で第1号)。2006年民間企業から大学に仕事の場を移し、本格的に研究活動を開始。現在に至る。
専門は、コーポレートコミュニケーション、企業の社会的責任、NPO論、企業広報、行政広報、組織内コミュニケーション論、ソーシャルコミュニケーション論など、コミュニケーション全般。
著書は、『組織に効くコミュニケーション』『昭和30年代に学ぶコミュニケーション』『ソーシャルメディアの罠』(2015~2017いずれも彩流社)、『協働広報の時代』(2012 萌書房) 、『サステナブル時代のコミュニケーション戦略』(2005 同友館)。その他、共著、論文など多数。

ISBN:9784779306099
出版社:北樹出版
判型:4-6
ページ数:268ページ
定価:2300円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CFG
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:2GJ