子ども家庭支援の心理学 完結
編:原 信夫
編:井上 美鈴
内容紹介
2019年度保育士養成課程新科目のテキスト。従来科目「保育の心理学Ⅰ」「家庭支援論」「子どもの保健Ⅰ」の内容から、子どもとその家庭の支援に向けて包括的な理解に必要な基本知識を、平易に解説。①生涯発達、②家族・家庭の理解、③子育て家庭に関する現状と課題、④子どもの精神保健とその課題、の4部に分かれ、保育士養成の観点を中心にしつつ、それぞれの領域を概観することもできる。関連用語の解説も充実させた。保育を学ぶ学生のほか、生涯発達や家族・家庭支援、子どもの精神保健領域に関心があるすべての人へ、学びの基礎として役立つ一冊。
目次
【第1部 生涯発達】
第1章 生涯発達とライフサイクル
1 生涯発達
2 ライフサイクル
3 エリクソンのライフサイクル論
4 様々な発達領域・発達理論同士の関係:縦の糸と横の糸
5 発達領域・発達理論を学ぶ意味
第2章 乳幼児期から学童期前期にかけての発達
1 乳児期
(1)エリクソンのライフサイクル論
(2)アタッチメント理論
2 幼児期前期(1~2歳まで)
(1)エリクソンのライフサイクル論
(2)マーラーの分離‐個体化理論
3 幼児期後期(3歳~小学校入学まで)
4 学童期前期(小学生)
(1)エリクソンのライフサイクル論
(2)保育所・幼稚園から小学校入学に向けて
5 乳幼児期から学童期前期に生じやすい心理社会的問題と病理
第3章 学童期後期から青年期にかけての発達
1 学童期後期
(1)エリクソンのライフサイクル論とレヴィンソンの発達課題
(2)学童期後期の認知の発達
(3)学童期後期の仲間関係の発達
(4)学童期後期の心理社会的問題
2 思春期(青年期前期)
(1)思春期の認知の発達
(2)思春期の仲間関係と家族関係
(3)思春期の心理社会的問題
3 青年期
(1)青年期の発達課題
(2)青年期の心理社会的問題
第4章 成人期から老年期にかけての発達
1 成人期以降の発達のとらえ方
2 成人期初期
(1)青年から成人への移行期
(2)職業キャリア
(3)結婚
(4)親になること
3 成人期と中年期
(1)成人期
(2)中年期
4 老年期
(1)高齢化の進展
(2)知的能力の変化
(3)サクセスフル・エイジング
(4)介護と死の受容
【第2部 家族・家庭の理解 】
第5章 家族・家庭の意義と機能
1 家族・家庭とは何か
(1)家族・家庭・世帯
(2)明治期以降の家族の変容
2 世帯規模・世帯構造の変化
(1)世帯規模の変化
(2)世帯構成の変化と子育てへの影響
3 家族の機能と変化
4 子どもを養育する機能を支える子育て支援
第6章 親子関係・家族関係の理解
1 親、親子関係の定義・特徴
(1)親とは
(2)親子関係とは
(3)親権とは
2 家族関係の発達
(1)家族ライフサイクルとは
(2)家族の形成期
(3)家族の拡大期
(4)家族の収束期
3 乳幼児期の親子関係の重要性
4 乳幼児期における親子関係の特徴
5 乳幼児期の親子関係をとらえやすい場面とその特徴
6 関係の安定化に向けて
(1)アタッチメントを育む重要性
(2)アタッチメントを育むには
(3)子どもとのかかわり方への視点
第7章 子育ての経験と親としての育ち
1 「親になる」ことと「親をする」ことの関係
2 親になるための土台
(1)母性があるから子育てできる?
(2)子育てにかかわる資質や能力のとらえかた
3 親になる経験の実際
(1)子育てによる生活の変化と意味づけ
(2)親の子どもイメージの変化にみる親としての経験と発達
4 親としての発達とその支援
(1)親は自分の成長をどのようにとらえているのか
(2)親としての発達を保障する支援に向けて
【第3部 子育て家庭に関する現状と課題】
第8章 子どもと家庭の状況
1 少子高齢化社会
(1)少子化とは
(2)高齢化とは
(3)少子高齢化の影響
2 未婚化・晩婚化の進行
3 世帯構造の変化
4 共働き世帯の増加
5 ひとり親世帯
6 家族・子どもの貧困
第9章 ライフコースと仕事・子育て
1 ライフコースと性別役割分
(1)ライフコース
(2)性別役割分業
2 性別役割分業と働くことへの意識
(1)M字カーブ
(2)育児と就業への意識
(3)性別と職業への意識
3 結婚・出産とライフコースの実際
(1)ライフコースの男女差
(2)女性の就業の現状
(3)就業継続への課題
4 男性の育児分担と新たな葛藤
(1)男性のストレスと性役割態度
(2)男性役割の変化
第10章 多様な家庭とその理解
1 ひとり親家庭への理解と支援
(1)ひとり親家庭の現状
(2)ひとり親家庭と子どもの貧困化
(3)ひとり親が抱える困難さ
(4)ひとり親せて合いの多様化と支援範囲の拡大
2 育児不安への理解と支援
(1)子育てへの不安と負担
(2)育児不安の背景
(3)楽しさと自信のなさが混在する子育て意識
3 多様な家庭への支援
第11章 特別な配慮を要する子どもと家庭
1 保育における特別な配慮
(1)特別な配慮とは
(2)特別な配慮を要する家庭
2 特別な配慮が必要な場合の注意点
(1)保護者のニーズや思いを確かめる
(2)守秘義務について
(3)外部の専門機関との連携
3 入所時に特別な配慮の必要性が明らかな場合
(1)保護者との話し合いで注意すべき点
(2)外部の専門機関との連携
4 保育を行うなかで特別な配慮の必要性がわかってくる場合
(1)どのように困難さが「わかって」くるのか
(2)専門機関による支援につなぐ際の注意点
(3)子どもの状態は環境によっても変わる
5 困難さを共有して抱える
(1)子ども・保護者・保育士それぞれの困難さ
(2)困難さについて感じたことの共有
(3)困難なときほど、複数の視点で対応する
6 配慮をめぐる対立を乗り越える
(1)支援の見極めのむずかしさ
(2)保護者と保育所の意向が対立する場合
(3)連携機関と保育所が対立する場合
(4)対立を乗り越えるために
【第4部 子どもの精神保健とその課題】
第12章 なぜ子どもの精神保健を学ぶのか
1 健康と精神保健の定義
2 精神保健に関係する因子
(1)子どもの生活・生育環境
(2)子どもの心の健康にかかわる問題
3 心の健康をみる上でのポイント
第13章 子どもの生活・生育環境とその影響
1 子どもが育つ環境の複雑さ
2 環境の力と発達の可塑性:ルーマニアの事例から
3 発達におけるリスク:子どもの貧困
(1)子どもの貧困とは
(2)調査からみる子どもの貧困と発達への影響
(3)貧困が子どもに影響を及ぼす経路とプロセス
(4)子育て支援への視点
4 発達初期への教育・援助の重要性
5 逆境を克服する力:レジリエンス
第14章 子どもの心の健康にかかわる問題
1 知的障害・発達障害
(1)知的障害
(2)発達障害(発達障害者支援法から)
2 心身症と関連する疾患・症状
(1)アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、喘息)
(2)腹痛
(3)小食(少食)・拒食
(4)チック
(5)夜尿・遺尿
(6)脱毛・抜毛
3 アタッチメント障害、その他の障害・症状
(1)アタッチメント障害
(2)分離不安
(3)強迫性障害
(4)夜驚
(5)選択性緘黙
(6)PTSD
コラム
外国籍の子どもの保育
マタニティブルー
肢体不自由
参考文献
索 引
ISBN:9784779306051
。出版社:北樹出版
。判型:B5
。ページ数:176ページ
。定価:2100円(本体)
。発行年月日:2019年06月
。発売日:2019年06月26日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS。