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世界を救うための教訓

著:ロサ・モンテーロ
訳:阿部 孝次

紙版

内容紹介

地球温暖化、気候変動、医療過誤、幼児虐待、セックスレス、性的倒錯、コンピューターゲーム中毒、薬物乱用、内戦、爆弾テロなど、あらゆる問題が取り込まれた長編小説『Instrucciones para salvar el mundo』!発表当時、近未来的と取られた内容は15年後の現在では、まさに現代的問題となってそれが立ち現れる。
ストーリーの前半、妻のリタをがんで亡くしたタクシードライバーのマティアスは、妻の死が、コンピューターゲーム中毒の医師ダニエル・オルティスの誤診によるものであることを試行錯誤の末、突き止める過程が描かれる。後半では、マティアスがオルティスを誘拐する中で、今度はアフリカ出身の美しい娼婦ファトマの苦境に遭遇し、ファトマを二人で協力して救い出そうと試みる姿が描かれる。作品には、マティアスとオルティスのそれぞれの妻のリタ、マリーナのほか、シエラレオネの内戦の惨状を語るファトマ、売春クラブ経営者のドラコ、モロッコ人学生のラシッド、老女性科学者のセレブロらが登場する。セレブロは行きつけのバール・オアシスで毎晩、主人公のマティアスに、成功の後にのけ者にされた不運な科学者の話や原爆開発の舞台裏など科学史の興味深いエピソードを語り続け、物語に色を添える。

著者略歴

著:ロサ・モンテーロ
Rosa Montero Gayo. 1951年1月マドリード北部、闘牛士の父と主婦の母という家に生まれた。18歳でマドリード・コンプルテンセ大学入学、心理学とジャーナリズムを専攻。大学卒業後ジャーナリストとして報道機関で働き始め、1976年からは高級紙「エル・パイース」専属となり1980~ 81年にかけて日曜版編集長を務める。小説家としては1979年に、新聞社で働くシングルマザーを主人公にし、友人の女性たちの妊娠中絶や薬物依存などの赤裸々な告白をつづった『失恋日記』でデビュー。そうした文学活動が評価され、2017年にはスペイン国民文学賞受賞。各作品が、英語、独語、仏語、伊語、ポルトガル語など欧州各国語をはじめ、中国語、アラビア語など計20か国語以上に訳される。彼女は、現代スペインを代表する女性作家の一人と言って良い。彼女の作品の特徴は、現代の社会問題を鋭く取り入れ、毎回テーマを大胆に変えながら、ストーリー性豊かな長編小説を創作するところである。
訳:阿部 孝次
あべ・こうじ 1957年大阪市生まれ。東京大学教養学部卒業。翻訳家。マドリード・コンプルテンセ大学留学を経て読売新聞本社入社。北海道支社、編集局整理部、地方部、地方支局、メディア局事業部などに勤務。訳書に『マリアネラ』(ペレス・ガルドス作)、『砂の戦士たち』(ジョルジェ・アマード作)、『大密林』『日本紀行「開戦前夜」』(フェレイラ・デ・カストロ作)、『複製された男』(ジョゼ・サラマーゴ作)すべて彩流社刊。他、短篇小説、エッセーをまとめた『西成の少年』(編集工房ノア)がある。

ISBN:9784779129520
出版社:彩流社
判型:4-6
ページ数:304ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB