出版社を探す

澁澤龍彦の思考

エクリチュール化した「私」

著:谷﨑 龍彦

紙版

内容紹介

澁澤の「書く=読む」という行為には、「(仏語の)純粋言語を日本語に
よって救い出す」(ベンヤミン「翻訳者の使命」)という運動が働いている。
そのとき、澁澤という「私(わたくし)」性はどこにあるのだろうか。
澁澤の「書く=読む」という行為は「純粋言語」を救出するとともに、
澁澤という「私」性が消滅するのではないかというのが、
筆者が考える澁澤におけるエクリチュール化した「私」の意味である。

このエクリチュール化した「私」は、消滅するとともに
翻訳行為と同様、他者の「純粋言語」にまとわりつく「純粋思考」をも
かぎりなくとりこんでいく。

そして最後には、澁澤の博覧強記の「書く=読む」という行為は、
澁澤の「私」性が消滅して、エクリチュールに他者、評者(筆者)まで
をもまきこんでいく。
究極的にそこに浮上する澁澤の「思考」とはなにか……それを逐語訳的に
翻訳・抽出していくのが本書の眼目なのである。

【目次】
(第1章)サドの自然
(第2章)『夢の宇宙誌』玩具・天使・アンドロギュノス・世界の終り
(第3章)『エロスの解剖』
(第4章)『胡桃の中の世界』

目次

第1章 サドの自然
第2章 『夢の宇宙誌』玩具・天使・アンドロギュノス・世界の終り
第3章 『エロスの解剖』
第4章 『胡桃の中の世界』

著者略歴

著:谷﨑 龍彦
たにざき・たつひこ
1955年、三重県旧美杉村生まれ。
澁澤龍彦に私淑して文芸評論を始める。
教育関係の仕事に携わりながら、
村上春樹、飯島耕一、大江健三郎などを研究。奈良県在住。
著作に
『村上春樹『1Q84』の性表出 BOOK1のパラフレーズ 』
(彩流社、2011年)、
『村上春樹の深い「魂の物語」 『色彩を持たない多崎つくると、
 彼の巡礼の年』』(彩流社、2014年)、
『騎士団長殺し』の「穴」を読む セクシュアリティの多様性』
(彩流社、2018年)などがある。

ISBN:9784779128318
出版社:彩流社
判型:4-6
ページ数:264ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2022年07月
発売日:2022年07月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ