国際文化研究への道
共生と連帯を求めて
編:熊田 泰章
内容紹介
インターカルチュラル・コミュニケーションの研究成果!
「放射能の時代」「人の移動と権力」「文学と社会」「アートと政治」の四テーマ
から見える現代世界のさまざまな人間集団の文化的営みと相互関係の相貌、
国際文化研究の視座・方法論を考えるうえで示唆に富む「万国史」受容の足跡、
そして教育実践・・・・・・。
目次
序 文──────────────────────────────────────────曽 士才
第Ⅰ部 放射能の時代
第一章 「ヨーロッパ」という問題──テロルと放射能時代における哲学─────────────森村 修
はじめに──三・一一以後に九・一一を語ることの意味
一 九・一一の政治神学的背景──「赦し」と「主権」の問題
二 フッサールにとって哲学とは何であったか──哲学の使命と理性の問題
三 「ヨーロッパという精神の形態」──フッサールの「ヨーロッパ」論
四 「回転ドア」としての合理性──抵抗としての「ヨーロッパ」の理念
おわりにかえて──ヨーロッパとアメリカ合衆国の没落に向けて
第二章 今日的な課題としての広島・長崎――被爆問題の再検討───────────────桐谷多恵子
はじめに
一 ロバート・J・リフトンの研究
二 石田忠の研究
三 今後の展望
第Ⅱ部 人の移動と権力
第三章 アジア太平洋戦争末期の満州分村移民――高知県幡多郡大正村を中心に─────中山寛子
はじめに
一 日本人移民の動向
1 近代以降の送出の概況
2 送出方法としての集団移住
二 大正村の満州分村移民送出
1 分村移民計画の全国的展開
2 高知県の満州移民と分村の概況
3 北幡(幡多郡北部)の分村移民
三 戦後移住における集団移住──むすびにかえて
第四章 カナダにおける日系移民の地域共生――宮崎政次郎を事例とした一考察────────斉藤徳博
はじめに
一 宮崎政次郎の前半生
1 南青柳村からカナダへ
2 一九三〇年代の日系コミュニティー
二 太平洋戦争からの後半生
1 強制移動と収容所
2 小村における地域共生
3 真の共生への門戸
三 宮崎が遺したもの
1 家族に遺したもの
2 移民と地域社会
第五章 ドイツ人軍事捕虜の「反ファシスト運動」一九四一年~一九四八年─────────小林昭菜
──「シベリア民主運動」発生のケースと比較して──
はじめに
一 ドイツ人軍事捕虜の「反ファシスト活動」
二 「自由ドイツ」国民委員会の創設
三 敗戦前後の「反ファシスト運動」と反ファシスト委員会の創設
四 「シベリア民主運動」は誰がはじめたのか
五 ロシア側の「民主運動」解釈とは
おわりに
第Ⅲ部 文学と社会
第六章 「満洲文学論争」の一試論──────────────────────────────守屋貴嗣
はじめに
一 土地の文学、植民地文学
二 日本文学の一要素
三 満人ものを書くこと
四 日本内地の媒体掲載の満洲文学論争
結論
第七章 『海辺のカフカ』の日本文学─────────────────────────────浅利文子
一 日本に向かう意識
二 『坑夫』――深い地底にもぐる、生きるか死ぬかの体験
三 『源氏物語』と『雨月物語』――〈幽体離脱〉の物語
四 日本の深層に蠢くもの
第八章 ラテンアメリカ日本語文学論────────────────────────────川村 湊
一 フシーアとフジモリ
二 文学語と国家語
三 ラテンアメリカの「日本人」
四 〝コロニア文学〟からの出発
五 ラテンアメリカの日本語文学
六 庶民文芸としての〝紐つり本〟
七 アルゼンチンの日系移民小説
第Ⅳ部 アートと政治
第九章 絵画のナラトロジー試論──────────────────────────────熊田泰章
──知ることと見ることと語ることの本来的役割同一性についての一考察──
はじめに
一 肖像画と風俗画
二 マネの絵画
三 まとめ──絵画のナラトロジー
第十章 政治風刺画の「意図」と「解釈」──────────────────────────深松亮太
──ノースカロライナ州における反黒人キャンペーンと図像イメージ──
はじめに
一 反黒人キャンペーンの背景と「図像分析」の方法
二 表象の目的としての政党間の対比と支持層の拡大
三 反黒人キャンペーンにおける黒人の表象とその特徴
四 風刺画における白人の表象とその特徴
むすびにかえて
第十一章 アートのポリティックス──北アイルランドにおける壁画の脱構築的読解────田島樹里奈
はじめに――民衆の「怒りの叫び」としての壁画
一 デリダの脱構築とポリティックス
二 「パレルゴン」概念の生成
三 〝北-アイルランド〟をめぐる壁画のポリティックス
四 北アイルランド紛争と壁画の切断不可能性
おわりに
第Ⅴ部 「万国史」
第十二章 西村茂樹『万国史略』とA・F・タイトラー『一般史』──世界史の方法をめぐって────南塚信吾
はじめに
一 欧米における世界史の模索
二 タイトラーと歴史
三 西村茂樹『万国史略』
四 『万国史略』の明治期「万国史」における位置
おわりに
第十三章 箕作麟祥と『万国新史』の世界───────────────────────────南塚信吾
一 箕作麟祥(一八四六~一八九七年)
二 『万国新史』の成立
三 『万国新史』の概要
四 世界史の方法
五 歴史の用語三題
六 「万国史」のその後
おわりに――麟祥『万国新史』から学ぶもの
第Ⅵ部 「国際文化」の教育のために
第十四章 留学生を主対象とする国内研修実現への歩み────────────────────高栁俊男
──法政大学国際文化学部の教育実践の記録として
はじめに
一 SJ国内研修導入の経緯
二 研修実施に向けた準備作業①──「プレ研修」の実施
三 研修実施に向けた準備作業②──現地への下見
四 研修実施に向けた準備作業③──関連資料収集・イベント開催ほか
おわりに──各種の準備作業からみえてきたもの
参考資料①
参考資料②
ISBN:9784779118968
。出版社:彩流社
。判型:A5
。ページ数:428ページ
。定価:4500円(本体)
。発行年月日:2013年05月
。発売日:2013年05月15日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB。