初めて語られる知られざるハルキ像!
村上春樹の好きなフィッツジェラルドは、『闇の奥』のコンラッドに心酔し、オーウェルは、コンラッドを政治小説の偉大なる師匠とみなしていた……。
「コンラッドはイギリス文学の作家のなかで、村上がいちばん言及・引用している作家である。頻度からいえばむろんアメリカ人作家ほどではないが、コンラッドが独走状態にあることは否定のしようがない。おそらく村上のコンラッドにたいする親近感のもとは、母国語ではなく異言語(英語)で小説を書いた、いわゆる広い意味での亡命作家だったからにほかならない。村上春樹の公言するところによれば、みずからも日本の文壇やその党派性になじめずに外国に移住し、日本にたいしてたえずウトサイダー意識やエグザイル意識を持っていたことが、村上のコンラッド評価の原点となっている。そこがまた村上の非日本的な小説が生まれる磁場ともなっているのだ」(「ハルキ、オーウェル、コンラッド」より)