〈南仏〉の創出
癒しの文化史
著:矢橋 透
紙版
内容紹介
「癒し芸術」とでも呼ぶべき表象は、ナショナリズムの最盛期に発生し、「国民芸術」と並行して展開した。
プロヴァンスを中心とする南仏地方は、世界文化において特権的な場であり続けてきた。かの地を舞台とした映画・小説・旅行記・料理本に至るまで、無数の文化的アイテムが生産された。煌めく陽光、豊かな自然、素朴で開放的な人間、質量ともに豊饒な食など、時代の変化を感じさせない生活のイメージは、煩瑣な日々の生活に疲れた現代人にノスタルジックな「癒し」を与え、それが流行に結びついているといえる。癒しの〈南仏〉表象は、その起源を19世紀後半に遡ることができ、小説・演劇・映画などの領域を横断しながら、現在まで150年ほどの伝統がある。本書では、この伝統を、それがいかなる作家により、どのような社会的背景から生まれ、展開してきたかを辿り、明らかにする試論である。
目次
(第1章)ドーデー『風車小屋だより』『アルルの女』
(第2章)パニョル「マルセイユ三部作(トリロジー)」
(第3章)パニョル「ジオノ原作四部作」
(第4章)パニョル『泉のマノン』『父の大手柄/マルセルの夏』
(第5章)ゲディギャン『マルセイユの恋』
(第6章)ベッケル『クリクリのいた夏』『画家と庭師とカンパーニュ』
ISBN:9784779115950
。出版社:彩流社
。判型:4-6
。ページ数:160ページ
。定価:2500円(本体)
。発行年月日:2011年01月
。発売日:2011年01月21日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF。