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山を忘れた日本人

山から始まる文化の衰退

著:石川 徹也

紙版

内容紹介

理不尽な林道開発や砂防工事によって破壊される自然!
世はトレッキング・ブーム老いも若きも山を目指す。良識なる登山者の行動は腹立たしいが
、許せないのは林野行政。勝手な都合で自然を破壊し、その結果、数百兆円の国の借金が残る。90年代前半、山形・朝日連峰で林野庁の外郭団体・森林開発公団(現・緑資源公団)によって建設が進められていた林業事業に対し、自然破壊ばかりか必要性に関しても県内外の記者から指摘があった。山奥で幅7メートルもの道路が建設されていた。運動の輪を
広げ、朝日連峰の事業は98年末中止。現在のダム建設に代表される公共事業問題の先駆けを作った。取材から得た実例をジャーナリスティックにかつ民俗学的視点を援用して剔抉
する集大成の書。

目次

はじめに
第一章「山岳地に棲む 原始から現在」
〔1〕旧石器時代の山島―日本列島に人が住む
〔2〕縄文の山岳観―人はいつから山に住み始めたのか
〔3〕弥生時代の山岳
〔4〕「奥山」への進出とその俗化
第二章「山の民俗の起源を求めて」
〔1〕マタギの村―朝日連峰・小国町五味沢
〔2〕木地師の古里―近江・小椋谷
〔3〕定住は山から始まった―八ヶ岳
〔4〕山人研究発祥の地―九州山地・椎葉
第三章「危機に立つ山の民俗」――「開発の民俗学」の提唱
〔1〕「開発の民俗学」に関する研究
〔2〕開発の民俗学の定義
〔3〕「山の民俗」に関する考察
第四章「神性の崩壊と山の開発」―山の民俗の喪失と日本人
〔1〕神社合祀と南方熊楠
〔2〕山の神に関する考察
〔3〕山中異界観と原初的山岳自然観
(1)「山中異界観」に関する考察
(2)「原初的山岳自然観」考
〔4〕 山の開発と日本人
〔4〕必要とされる「開発規制の民俗思想」
第五章―「山と日本人考」
〔1〕 自然に関する考察
〔2〕 山と日本人に関する考察
おわりに

著者略歴

著:石川 徹也
1963年生まれ。新聞記者。「山を考えるジャーナリストの会」代表。早大教育学部卒業後、東京新聞社入社。山岳専門誌『岳人』記者等を経て、自然保護問題を現場に踏み込んで社会学的視点からのルポを発表。その後、成城大学大学院で民俗学修士号取得。主な著書に『日本の自然保護 平凡社新書』(平凡社、2001年)、『日本の山を殺すな!宝島社新書 』(宝島社、1999年)、『ルポ・日本の川 』(緑風出版、1999年)、『森が滅びる―林道とダム開発現場を行く』(三一書房、1995年)等がある。

ISBN:9784779115745
出版社:彩流社
判型:4-6
ページ数:300ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2011年01月
発売日:2011年01月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC