日本人の他界観の構造
著:大東 俊一
内容紹介
「あの世」はどこにあるのか……。
「この世」と行き来できる他界や、美しい山の向こうに広がる他界。
「この世」とは異なる世界と認識されながら、漠然として曖昧な日本人の他界観。
『古事記』、『日本書紀』、『万葉集』から中世の文字資料、「来迎図」といった絵画資料〔阿弥陀二十五菩薩来迎図/早来迎(国宝:知恩院)、山越阿弥陀図(国宝:総本山 禅林寺 永観堂/京都国立博物館)など〕、現代における民俗行事〔京都の盆行事/「六道まいり」と「大文字五山送り火」〕の観察などから、日本人の他界観形成の特性を考察する。
目次
第一章 日本古来の他界観
一 他界観の探究に向けて
二 記紀神話における他界
高天原/黄泉国/根之堅州国・根国/常世国/
多様な他界観
三 『万葉集』における他界
他界観の類型/根之堅州国・根国と黄泉国との関係/
常世国と海中・海上他界/山中他界/
天上他界の二類型/火葬と天上他界観/
基層としての山中他界観/古代人の他界観
第二章 『日本霊異記』における他界観
一 冥界の景観
二 「黄泉」としての冥界
三 この世と冥界との往来
第三章 日本的浄土の風景――来迎図の世界
一 折口信夫に寄せて
二 「浄土三部経」における浄土の風景
三 『往生要集』における浄土の風景
四 王朝人の浄土(一)
五 王朝人の浄土(二)
六 欣求浄土の前提としての無常観
七 死者と紅葉
八 来迎図の山水
九 山越阿弥陀図の山水
一〇 山越阿弥陀図における浄土
第四章 京都の盆行事に見る他界観――六道まいりと大文字五山送り火
一 六道まいりの現状
二 六道まいりの起源
三 大文字五山送り火の起源
四 大文字五山送り火の現状
五 盆の供物の処理と精霊送り
六 境外の「あの世」