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『東京物語』と日本人

著:小野 俊太郎

紙版

内容紹介

『東京物語』に関する批評の現在の流れは、映像分析を中心(つまり日本語の理解がなくても済むもの)、

あるいは外国人の視点に立つ(社会コードを無視できるもの)というのが主流です。そうでなければ、

古い美しさを一方的に賛美するものが多いのです。

そこでローカルな視点にこだわり、なぜ上野の料理屋の提灯に酒ではなくて「酉」がアップになるのか、

背景に「さかさくらげ」のマークをわざわざ作って入れてあるのはなぜか、どうして長女の美容師は

仕事場の白衣の下に細かな柄のロングスカートを着用しているのか、どうしてお刺身はいらないというのか、

といった映画の細部について考えてみました。

長男の中学生の息子が英語の教科書を読むその内容は物語とどんなつながりを持つのかとか、

流れる流行歌やフォスターの歌との関係も探っています。

それから、たいていは無視されてしまう『東京物語』に影響を受けた内外の映画を探り、山田洋次との関係に

ついて、さらにアラーキーや是枝監督とのつながりについても分析してあります。

目次

はじめに 世界が認めたから偉いのか
第一章 尾道から上京する人々
第二章 東京で待つ人々
第三章 戦争の記憶と忘却
第四章 紀子はどこの墓に入るのか
第五章 『東京物語』の影の下で
おわりに 外に開くものとして

著者略歴

著:小野 俊太郎
小野俊太郎 ( おの・しゅんたろう )北海道札幌市生まれ。東京都立大学卒業。成城大学大学院英文科博士後期課程単位取得退学。主な著書『モスラの精神史』(講談社現代新書)、『フランケンシュタイン・コンプレックス 人間は、いつ怪物になるのか』(青草書房)、『大魔神の精神史』(角川oneテーマ21)、『ゴジラの精神史』(彩流社)、『人間になるための芸術と技術 ヒューマニティーズからのアプローチ』、『デジタル人文学』(以上松柏社)など多数。

ISBN:9784775402214
出版社:松柏社
判型:4-6
ページ数:316ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2015年11月
発売日:2015年11月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF