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革命記念日に生まれて 子どもの目で見た日本、ソ連

著:エルヴィン・ナギ
訳:野中 進

紙版

内容紹介

1930年モスクワに生まれ、1931~37年日本で育ち、1938年大粛清で父を失う――その後スターリン体制、第二次世界大戦、長い長い全体主義時代をユダヤ人として生き抜いた著者による回想録。戦争とソ連国家に翻弄され続けた人生は、しかし典型的なソ連人のそれでもあった。ソ連で生きること、の手触りを直に伝える回想録。
常に少数者としての視点はソ連社会の本質をあぶりだし、日本滞在時の回想も、外国人の、それも子どもの目から見た当時の世相が見て取れて興味深い。
スターリンに粛清された父のKGB尋問記録(第三部「父のファイル」)も収録。時代を伝える貴重なものである。
解説沢田和彦。

目次

 はじめに数言……

第一部 人間形成
 第一章 幸福な幼年時代
 第二章 不安多き思春期
 第三章 戦争の年月

第二部 さまざまな出来事
 調査票
 個人調書
 私たちは金色の太陽の下に生きている……
 叔父の墓碑
 古いランプ
 一九六七年のモスクワ、アルヒーポフ通り
 民族の友好、あるいは、旧ソ連の民族紛争を引き起こしかねなかった事件について
 ピツンダ、モスクワ、さらに至るところで

第三部 父のファイル

 アレクセイ・ナギ一家の日本滞在(沢田和彦)
 訳者解題

著者略歴

著:エルヴィン・ナギ
1930年モスクワ生まれ。ソ連のタス通信の記者である父親の仕事の関係で、1931年から1937年まで日本で過ごす。ソ連帰国後、父アレクセイが「日本のスパイ」などの罪状で粛清。独ソ戦中、母ファーニャとともにシベリアに疎開。1955年、モスクワ・エネルギー大学を卒業し、1990年まで電気技師として働く。1994年、家族とともにドイツに移住。デュッセルドルフ在住。
訳:野中 進
1967年神奈川県生まれ。埼玉大学教養学部教授。20世紀のロシア文学が専門。著書に『秘められた比喩:アンドレイ・プラトーノフの文体の詩学』(ロゴス社[セルビア]、2020)、共編著に『ロシア文化の方舟―ソ連崩壊から二〇年』(東洋書店、2011)、『再考ロシア・フォルマリズム―言語・メディア・知覚』(せりか書房、2012)など。

ISBN:9784773420388
出版社:東洋書店新社
判型:4-6
ページ数:440ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2020年09月
発売日:2020年08月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DNB