アマゾンのふしぎな森へようこそ!
先住民の声に耳をすませば
著:南研子
内容紹介
日本から2万キロ離れたブラジル・アマゾンの森の中。
色鮮やかなオウムたちが空を舞い、木に目をやるとナマケモノと目が合い、川の中洲でワニが日向ぼっこ、カメやカワウソが遊びにきていて、遠くの方にはヒョウは水を飲みにくる――
まるでおとぎの国のような場所で、先住民たちは、なかまとともに、森の生き物とともに、あらゆる精霊とともに、自分なりに心地よく“あるがまま”に暮らしています。電気もガスも水道もない、お金は通用せず、文字もないけれど、感じる力を頼りに人びとは豊かな文化を受け継ぎます。
気候変動の影響による環境変化、“文明社会”による森や文化の破壊などにも社会全体で議論して対応し、伝統的なくらしを未来につなぎます。
「ジャングルがなくなればインディオは死ぬ。そしていずれはお前たちの社会も滅びる」
34年前のラオーニ(カヤポ族の長老)の言葉(本書 P.20)
「この地球は限りある資源でバランスよく保っているのに、そのテンポを早めたら、自然の決まりごとが崩れてしまう。そのツケは必ず人間に回ってくるというのに」
メガロン・チュカハマエ(カヤポ族のリーダー)の言葉(本書 P.153〜154)
氷河期にも緑のジャングルが残り、たくさんの生き物の避難場所となったアマゾンの人びとの知恵に、日本に暮らす私たちが持続可能な社会をつくり、人新世を生き抜く答えヒントがあります。
目次
この本を読むみなさまへ
第1章 ブラジル・アマゾンの熱帯林へようこそ
アマゾンまでの道のり ◆ 30年前、はじめてのアマゾンで ◆ さまざまな生き物とともにくらす ◆ アマゾン流の動物との接し方 ◆ アマゾンの巨大生物たち ◆ ヘビと向き合ったとき ◆ 自然の脅威に命のピンチ ◆ 歌手スティングのワールドツアー
第2章 アマゾンの人びと、アマゾンのくらし
アマゾンでの一日 ◆ 音を立てて沈む太陽 ◆ お墓が真ん中にあるドーナツの形をした村 ◆ アマゾンの女性の役割 ◆ 子どもを産み育てる ◆ アマゾンの男の仕事 ◆ 村への入村のあいさつ ◆ 呪術師の活躍 ◆ 毛がフサフサ生えてくる薬草!? ◆ 植物と話ができる呪術師 ◆ 新型コロナウイルス感染症を乗りこえる
第3章 精霊とともにくらしがある
目には見えないけど感じることができる存在 ◆ ふしぎな体験――ジャングルを守る精霊 ◆ 星空の下の出会い ◆ 自然との「会話」 ◆ よい精霊と悪い精霊 ◆ さまざまな祭り ◆ 厳しい女の子の通過儀礼と女の祭り ◆ 勇気を試される男の通過儀礼 ◆ アマゾンのアート
第4章 みんなでともに生きる先住民の社会
インディオの村のしくみ ◆ 話し合いのルール ◆ お金が通用しない社会 ◆ 子どものころからなかまとともに ◆ キャラメルを3つに噛み分けた女の子 ◆ なかまはずれもない ◆ 文字はない ◆ 体の内なる声を聞きなさい
第5章 アマゾンで起きていること
遠い旅をしてきた人たち ◆ お金もうけのために壊される熱帯林 ◆ アマゾンの自然を守るインディオたちのブラジルでの立場 ◆ 文字を学びはじめたインディオたち ◆ インディオとして生きる難しさ ◆ アナテイハという女性 ◆ インディオの若者による消防団が森を守る ◆ 経済自立に向けてハチを飼う
第6章 地球を守るためにアマゾンの森の声を聞いて
アマゾンの森から見えるブラジル社会の現状 ◆ アマゾンの鉱物資源と開発 ◆ アマゾンの熱帯林は「地球の肺」 ◆ 私たちになにができるの? ◆ アマゾン支援はお金が必要
日本のみなさんへ──メガロン・チュカハマエ(カヤポ族のリーダー)
あとがきにかえて──“あるがまま〟のアマゾン文化とともに、これからも