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おとなの自閉スペクトラム

メンタルヘルスケアガイド

監:本田 秀夫
編:大島 郁葉

紙版

内容紹介

かつて,自閉症は子どもの精神疾患とされた。研究者の関心はもっぱら他覚的に認識される「症状」と「経過」にあり,症状の軽減や社会参加といった「定型発達」の価値観に立脚した治療/支援が主流であった。

しかし近年,その特性が生涯続き,様々な表現型を示すスペクトラムであることが示されている。さらには,特性を疾患ではなく多様なヒトの変異のあり方(ニューロダイバーシティ/ニューロトライブ)と捉える考え方が急速に拡がっているが,一方で,多くの成人当事者がメンタルヘルスの問題を抱えて悩んでいることも指摘されている。

本書では「自閉スペクトラム症(ASD)」ではなく「自閉スペクトラム(AS)」をキーワードとし,さらに「おとな」と「メンタルヘルス」を加えて,ニューロトライブとしてのASの人の価値観に基づく成人期のメンタルヘルスの意味を構築することを目指す。

各章では,ASの人達の臨床像の広さや魅力,診断と具体的な支援などについて紹介され,読者のニーズに応じて多様な観点から学べるガイドとなっている。支援者はもちろん,当事者や家族,当事者と関わりの深い人達にとって必読の書である。

目次

はじめに:本田秀夫

第Ⅰ部 序論
特異な選好(preference)をもつ種族(tribe)としての自閉スペクトラム:本田秀夫
知ることからはじめる―ASDの診断から自己理解とアイデンティティの再構築へ:大島郁葉

第Ⅱ部 ASを理解する
自閉スペクトラムのパーソナリティ:青木省三
ASの人たちの感覚:青木悠太
AS/ASDをめぐるスティグマ:鳥居深雪

第Ⅲ部 AS/ASDを診断・告知する
AS/ASDを診断する:内山登紀夫
AS/ASDの告知:大島郁葉

第Ⅳ部 ASのメンタルヘルスを理解・支援する
ASとアタッチメント―症状論・支援論:田中 究
ASとトラウマ―症状論・支援論:桑原 斉
ASと強迫―症状論・支援論:中川彰子
ASと不安―症状論・支援論:村上伸治
ASと抑うつ―症状論・支援論:阿部隆明
ASと双極II型障害―症状論・支援論:鷲塚伸介
ASとアディクション:小林桜児
自閉スペクトラムの子どもや若者とインターネットやゲームの世界:関 正樹

第Ⅴ部 ASのメンタルヘルスをケアする
〈心理・行動のケア①[環境調整]〉
合理的配慮と環境調整:渡辺慶一郎・榎本眞理子
TEACCH:岡東歩美・宇野洋太
〈心理・行動のケア②[自己理解]〉
CBT/ACAT:大島郁葉
マインドフルネス/ACT:杉山風輝子・熊野宏昭
〈心理・行動のケア③[行動変容]〉
PEERS(R)―友だち作りのSSTの可能性:山田智子
行動活性化/シェイピング:温泉美雪
〈社会参加のケア〉
就労・生活のケア:志賀利一
大人の自閉スペクトラムにおける産業メンタルヘルス:横山太範
学生相談:石垣琢麿・川瀬英理
デイケア・ショートケアプログラム:太田晴久
余暇活動支援:日戸由刈
自助グループ:片岡 聡
ピアサポート:綿貫愛子

第Ⅵ部 ASの世界を知る
[座談会]AS特性をめぐるクロストーク:青木省三・大島郁葉・桑原 斉・日戸由刈・本田秀夫[司会]
当事者エッセイ①―私のASD性質を周囲が受け入れてくれる理由:なな
当事者エッセイ②―就労移行支援所との関わりを中心に:pine

おわりに:大島郁葉

ISBN:9784772419307
出版社:金剛出版
判型:B5
ページ数:220ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2022年11月
発売日:2022年11月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ