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唯が行く!

当事者研究とオープンダイアローグ奮闘記

著:横道 誠

紙版

内容紹介

双極性障害の家族を持ち自身も発症の疑いを持つ大学生、唯(ゆい)は大学のサークル活動を起点として自助グループの運営にかかわるようになり、当事者研究とオープンダイアローグ(OD)を学んでいく。

発達障害、吃音、摂食障害、LGBT、鬱、ひきこもりの親など、自助グループに登場するさまざまな困りごとを抱えた当事者たちのケースを通して、この物語は、対人援助職、当事者向けの実践的ケーススタディとなる。

一方で、物語は成長して大学で教鞭をとる唯先生による講義編へと展開する。
講義編では、「ユーモア」「苦労の哲学」「ポリフォニー」「中動態」などのキーワードを並べつつ、当事者研究、ODを基礎から丁寧に解説。さらに、ハイデガー、アーレント、バフチンの思想が交差する深みへと進む。

本編のほか、ほがらかタッチのへたうまイラストや、付録には「唯のひらめきノート」、荒唐無稽なゲームブックなどが収録され、読者はユニークな世界観を味わいながら、当事者研究とODを楽しく学ぶことができる。

目次

はじめに

五月 プロローグ
六月 マンガ「あめのみに」
七月の対話 初めての当事者研究会
講義I 苦労とユーモア、人間愛、生命のリズム
当事者研究とは何か
苦労、ユーモア、向谷地生良、フランクル
フランクルの根本思想─態度価値と苦悩
ユーモア─生きのびる技術
フランクル的人間
質問と応答 当事者研究は誰が作った?
質問と応答 向谷地さんとキリスト教
質問と応答 当事者研究と人間愛
質問と応答 生命のリズム
ゆかいなレンツくん 第1話
八月 唯の詩「ヤンヤンさん」
九月の対話 オープンダイアローグ・アプローチ(一)
講義II ナラティヴとポリフォニー
ナラティヴ・セラピーとは何か
質問と応答 ナラティヴ・セラピーの限界?
オープンダイアローグとは何か
質問と応答 オープンダイアローグとナラティヴ・セラピー
質問と応答 当事者研究とオープンダイアローグの共通点
オートポイエーシス
質問と応答 当事者研究とオープンダイアローグの相違点
ゆかいなレンツくん 第2話
一〇月 主宰者が欠けた当事者研究会
講義III 中動態の時空
中動態とは何か
人間を包みこむ中動態
当事者研究とオープンダイアローグと中動態
質問と応答 AAと当事者研究
AAとは何か
自分なりに理解できる神
質問と応答 選択肢としての当事者研究
一一月 唯の日記より
一二月の対話 オープンダイアローグ・アプローチ(二)
講義IV 共進化と二種類のポリフォニー
三人以上のダイアローグ
問題解決と問題解消
共進化をめざす
余剰は大切
質問と応答 水平的ポリフォニーと垂直的ポリフォニー
一月 特訓風景
ゆかいなレンツくん 第4話
二月 当事者研究会の司会を務める
講義V 現れの空間と対話
ハイデガーと決断
ハイデガーと明け透き
ハイデガーの他者論
ハイデガーの戦前、戦中、戦後
アーレントの現れの空間
明け透きとしてのポリフォニー
改めて、あえてハイデガーな理由
三月 オープンダイアローグ・アプローチ(三)
四月 エピローグ

付録A 唯の「ひらめきノート」より
(一)オープン研究と当事者ダイアローグ
(二)アドバイスを考える
(三)地球税
(四)体が気持ちよくなり、心も気持ちよくなる
(五)ジャッジを考える
(六)シアン組織
(七)当事者創作と当事者批評
付録B 四方唯のゲームブック型ビルドゥングスロマン

あとがき
参考文献

ISBN:9784772418768
出版社:金剛出版
判型:4-6
ページ数:304ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2022年02月
発売日:2022年02月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ