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性暴力被害の実際

被害はどのように起き,どう回復するのか

編著:齋藤 梓
編著:大竹 裕子

紙版

内容紹介

相手の意思や感情をないがしろにする性交(不同意性交)は性暴力である。
今の社会で最も一般的な性暴力のイメージは,「突然」「見知らぬ人に」「脅されて」被害に遭うという極めて狭いイメージである。しかし,性暴力の多くは「日常生活の中で」「身近な人から」「暴行も脅しもなく」起こる。また,夫婦や恋人,親子間でも性暴力は起こり,しばしば繰り返されて継続する。
本書は,「望まない性交」を経験した当事者にその経験を語っていただき,その「語り」を,同意のない性交が起こるプロセス,同意のない性交が被害当事者の人生に及ぼす影響,回復への道のりといった観点から分析した,一連の調査の結果をまとめたものである。
「語り」から分かった性暴力の加害プロセスには,大きく「奇襲型」「飲酒・薬物使用を伴う型」「性虐待型」「エントラップ(罠にはめる)型」の4つの型がある。それら四つのプロセスを詳述し,「被害当事者にとって,なぜ被害を認識したり相談したりすることが難しいのか」を解説する。
さらに,性暴力被害を受けた当事者が被害を受けた時およびその後にさまざまな体験を経て,どのように回復の過程を辿り,いまどのように生きているのか,当事者たちの語りを紹介すると共に,彼女たちを回復に導くもの,逆に回復を阻むものについて浮きぼりにし,支援のあり方についても提言する。

目次

はじめに

第I部 こうして性暴力被害の調査が始まった
第1章 わたしたちの声を,届けてもらえませんか
第2章 性暴力の現状,調査プロジェクトの始動

第Ⅱ部 明るみになる性暴力の加害プロセス
第3章 罠にかける加害者――エントラップメント
第4章 地位・関係性を利用した性暴力――社会的抗拒不能
第5章 対等な関係での罠――モノ化されることの傷つき
第6章 子ども時代における家庭内の性暴力――行為を認識できないあいだに進むプロセス

第Ⅲ部 回復への道のりと支援
第7章 被害認識の難しさと自責感――わたしは被害者なの?
第8章 被害の影響――ゆるやかにつづく,死にたい気持ち
第9章 援助希求と周囲からの承認――悪いのは,加害者
第10章 レジリエンス――回復する女性たち

第Ⅳ部 より良い社会を創るために
第11章 性暴力とそうでない性交を分けるもの
第12章 社会への提言――性暴力被害当事者が生きやすい社会にするために

おわりに

付録 相談先一覧

ISBN:9784772417679
出版社:金剛出版
判型:4-6
ページ数:228ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2020年06月
発売日:2020年06月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF