新しいコスモポリタニズムとは何か
共生をめぐる探究とその理論
著:鈴木 弥香子
内容紹介
我々はすでに他者と共に生きている。「いかに他者とよりよく共に生きるか」という問いにコスモポリタニズムを通して挑む.
1990年代以降に再考されたコスモポリタニズム。それは単なる焼き直しではなく、様々な観点から批判的/反省的に再構成された、「新しい」ものだった。この理論を通して、よりよい共生を実現するための道を探る試み。
目次
序章 なぜ今、コスモポリタニズムなのか?
はじめに
1.2020年代にコスモポリタニズムを考えるということ
2.日本におけるコスモポリタニズム研究の動向
3.ベックのコスモポリタニズム理論の批判的継承
4.全体の構成
第1章「新しいコスモポリタニズム」とは何か
1.コスモポリタニズムの歴史
2.ローカル/コスモポリタン二分法批判
3.ユーロセントリズム批判
4.「根のないコスモポリタニズム」から「根のあるコスモポリタニズム」へ
4-1.「根なし草」でエリート主義的なコスモポリタニズム
4-2.「根のあるコスモポリタニズム」へ
5.三つのオープンネス
6.「新しいコスモポリタニズム」の理論的行き詰まり
7.結び
第2章 ベックのコスモポリタニズムとは何か
1.政治的ビジョンとしてのコスモポリタン現実主義――「コスモポリタン現実政治」
1-1.「コスモポリタン宣言」とコスモポリタン現実主義
1-2. コスモポリタン現実主義とは
2.なぜコスモポリタン現実政治なのか――その背景
2-1.ブレトンウッズの妥協から「黄金の拘束服」へ
2-2.グローバルな権力構造における国家
2-3.国家間競争とトランスナショナル・プライベート・パワーの台頭
2-4.「ナショナリティの罠」と「黄金の手帳」
3.リサーチ・アジェンダとしてコスモポリタニズム――「方法論的コスモポリタニズム」
4.「コスモポリタン化」
4-1.コスモポリタン化とは何か
4-2.グローバル化とコスモポリタン化
4-3.「どちらか(either/or)から「どちらも(both/and)」の原理へ
4-4.規範的―哲学的コスモポリタニズムと実証的―分析的コスモポリタン化
4-5.2つの顔を持つコスモポリタン化とグローバルなリスク
5.結び
第3章 ベックのコスモポリタニズムの問題性―その批判的継承のために
1.ユーロセントリズム批判
1-1.ベックはユーロセントリックなコスモポリタン?
1-2.バンブラによるベック批判
1-3.ベックによるユーロセントリズム批判
2.ベックのユーロセントリズム批判の限界性
2-1.ポストコロニアルな視点の重要性
2-2.「日本版コスモポリタニズム」としての八鉱一宇
2-3.ポストコロニアルな視点の重要性
3.「現実」の強調における陥穽
3-1.現実の強調と規範の忌避
3-2.「ありふれたコスモポリタニズム(banal cosmopolitanism)」批判
3-3.コスモポリタン現実主義の限界
3-4.コスモポリタンな連帯は自明なのか?
第4章 コスモポリタンな連帯の条件
1.国境を超えた連帯はあるのか?
2.自然災害で見られる2つのコスモポリタニズム
2-1.人道主義的コスモポリタニズムと帰責コスモポリタニズム
2-2.2つのコスモポリタニズムの「ジレンマ」
3.連帯と感情
3-1.コスモポリタニズムと感情
3-2.「人道的感情主義」批判
3-3.「我々」と「彼ら」の関係
4.結び
終章 反省的自己変容―よりよい共生のための規範
1.共生―日本版コスモポリタニズム?
2.自己変容を前提とする批判的コスモポリタニズム
3.自己変容の重要性――他の視点から
4.痛みを伴う自己変容
5.結び
あとがき
文献
ISBN:9784771037649
。出版社:晃洋書房
。判型:A5
。ページ数:162ページ
。定価:2700円(本体)
。発行年月日:2023年08月
。発売日:2023年08月22日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB。