カントと「移行」の問題
著:菊地 健三
内容紹介
カント未完の遺稿著作『オプス・ポストゥムム』にもとづき「移行」の根本的な問題点と、なぜ「移行」を完成しえなかったかを考察。基本的なカント哲学体系の構想を明確にしつつ矛盾だらけとも思える『オプス』の問題点をここに絞り得た!
目次
序論
第一章 一般形而上学と媒介機能
1 カテゴリー論と図式
2 ライプニッツの単純実体(モナド)とカントによるその批判
3 原則論――実体、図式、類推――
(1) 最高原則、および超越的存在の類推と三つの原則
(2) 第四の原則と二律背反
(3) 「経験の諸類推」における「実体」の問題
第二章 特殊形而上学とその形而上学的諸原理
1 前批判期の物質観――『活力測定考』から『モナド』まで――
2 「カテゴリーの演繹」と「エーテル演繹」
3 前批判期の物質観と『オプス』の物質観
第三章 カントの動力学
1 「第一批判」における「理想」
2 『原理』「第二章 動力学」
3 『原理』「総注」と『オプス』におけるその修正
4 「空虚な空間」の否定――「空間充満」――
第四章 ニュートンとカントにおける「エーテル仮説」
1 一七・一八世紀の「微粒子理論」と「動力学理論」
2 ニュートンの「エーテル仮説」
3 カントの「エーテル仮説」
第五章 これまでの「移行計画」についての諸解釈と実践領域における移行
1 「移行」についての諸解釈
2 実践領域における移行計画
第六章 「第三批判」における「移行」問題(Ⅰ)
1 「第三批判」の構成と『美と崇高』――プラトン『饗宴』を手掛かりに――
2 美についての「四つの契機」と「演繹」
第七章 「第三批判」における「移行」問題(Ⅱ)
1 崇高と目的論――理論的領域から実践的領域への移行
2 無機的自然から有機的生命体への移行
第八章 超越的領域と超越論的領域
1 実体とエーテル
2 主客同一性の問題
結論
あとがき
文献一覧
索 引