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シニカルな祭典

東京2020オリンピックが映す現代日本

著:阿部 潔

紙版

内容紹介

あれはなんだったのか――

数多くの不祥事と疑惑を抱え,コロナ禍のなか「なんとなく」流されるかのように開催され,閉会とともに忘却されてゆく東京2020オリンピック.この〈シニカルな祭典〉の在り様は,〈わたしたち〉の姿を,日本社会が抱える〈不都合な事実〉を,はからずも先鋭に映し出していた.

本書は,そこに蠢く〈なにか〉を浮かび上がらせるとともに,ユートピアへの想像力を手がかりに,シニカルな今の先に未来の〈希望〉を模索する.

目次

はじめに

序 章 東京2020オリンピックと〈わたしたち〉
    あれはなんだったのか
    「どうかしている」ことの繰り返し
    〈わたしたち〉の自画像
    「ホラー」の顛末?

第1章 大会のゆくえ─ネット世論とメガイベント
    惹きつけられる〈わたしたち〉
    メガイベントとメディアの相性の良さ
    約束された未来の誘惑
    「参加している感」のリアル
    幻滅のはじまり
    イベント=出来事への感性

第2章 危機と祝祭の表象――開閉会式パフォーマンス
    開会式――United by Emotion
    「アスリート・センタード」の真意
    閉会式――Worlds We Share
    社会的意義と多様性
    不可思議な式典の背景
    可能性のありか

第3章 祭典のただ中で――不可思議なパラレルワールド
    開催までの道のり
    開幕後の情勢
    閉幕後のメディア報道
    「パラレルワールド」としてのオリンピック/コロナ禍

第4章 喧騒のあとで――落ちた「憑き物」
    いつものオリンピック?
    余韻のなさ
    話題/ネタのゆくえ
    主催者たちの言葉
    「憑き物」としての東京大会
    グローバルな「金持ち」

第5章 世論の背景――「もやもや感」の記号論
    なにを見ていたのか――理想↔現実の軸
    なにが問われていたのか――賛成↔反対の軸
    なにを優先していたのか――祝祭↔危機の軸
    どこで体験していたのか――リアル↔ヴァーチャルの軸
    なにを評価していたのか――開催↔結果の軸
    だれ/なにが主人だったのか――憑かれる↔つかむの軸
    潜在的対抗の失効――「反対」はなぜ力を持ち得ないのか

第6章 シニカルな大会――浮かび上がる〈なにか〉
    複合項が映し出すもの
    中立項が映し出すもの
    「シニカルさ」という共通性
    シニカルなイベントのゆくえ

第7章 オリンピックはユートピアなのか?
    〈なにか〉から浮かび上がるもの
    ユートピアの条件

終 章 シニシズムから脱するために
    希望のありか
    もとに戻せないことの価値

あとがき
文献一覧
索  引

著者略歴

著:阿部 潔
関西学院大学社会学部教授

ISBN:9784771036994
出版社:晃洋書房
判型:4-6
ページ数:192ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:SCBB