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ルドルフ・オットー『聖なるもの』と世紀転換期ドイツ

信仰と近代学問の相克

著:藁科 智恵

紙版

内容紹介

「信仰」と「近代学問」との葛藤
世紀転換期ドイツにおいて、信仰と近代学問は相互に緊張をはらんだ関係にあった。そのダイナミクスを体現する著作であるR・オットー『聖なるもの』を軸として、当時の学的議論に内在しつつ、これを深く規定していた宗教的・精神的情況を浮き彫りにする。

目次

序章
 はじめに
 1 先行研究・問題の所在
 2 本書の構成

第Ⅰ部 宗教的・社会的情況における危機

第1章 宗教的・社会的情況
 1 教会内外の宗教的情況
 2 同時代人による宗教的情況の分析
 3 同時代人の分析に現れる「宗教的欲求」

第2章 オットーにおける宗教・政治・学問――ナウマンとの対比から
 1 ナウマンとオットー
 2 ナウマンとその活動
 3 『宗教についての手紙』
 4 オットーの書評
 5 ナウマンが辿る道、オットーが辿る道

第Ⅱ部 「宗教」をめぐる学的情況

第3章 一九世紀神学における学問と実践
 1 『聖なるもの』と神学
 2 シュライアマハーの神学における学問と実践の分離
 3 リッチュル学派――イエスの倫理的像による学問と実践の統合の試み
 4 宗教史学派――歴史的方法に基づく新たな学問的神学の模索
 5 オットー『聖なるもの』と当時の神学的議論
 6 オットーの課題――学問的認識における「宗教」

第4章 カント・フリースの宗教哲学
 1 フリースの哲学の位置
 2 オットーのフリース理解
 3 フリースの哲学
 4 フリースの哲学がオットーにおいて持った意味

第5章 民族心理学において現れる宗教という主題――W・ヴントへの批判
 1 W・ヴントと民族心理学
 2 オットーのヴントへの書評
 3 オットーの感じた危機

第Ⅲ部 危機への対処としての『聖なるもの』

第6章 R・オットーにおける「宗教的アプリオリ」理解――トレルチとの対比において
 1 「宗教的アプリオリ」をめぐる議論を鍵として
 2 「宗教的アプリオリ」の議論について
 3 トレルチ
 4 オットー
 5 「宗教的アプリオリ」で両者が想定すること、そのずれ
 6 オットーとトレルチ――オットーの出発点

第7章 オットーとジェイムズ――現象と実在、合理性と非合理性の間の緊張
 1 オットーとジェイムズにおける宗教現象研究
 2 ジェイムズのプラグマティズムから読み取る近代学問と超自然的現象との緊張関係
 3 オットーとジェイムズ、近代学問における現象と実在

第8章 オットーとバルト――絶対他者
 1 バルト、シュライアマハー、オットー
 2 バルト
 3 オットー
 4 オットーとバルト

終章

著者略歴

著:藁科 智恵
日本大学国際関係学部助教

ISBN:9784771035690
出版社:晃洋書房
判型:A5
ページ数:326ページ
定価:7600円(本体)
発行年月日:2022年01月
発売日:2022年02月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRA