教育とヘルシーエイジング
持続可能な社会の実現を目指して
著:常行 泰子
著:柴 英里
内容紹介
健康と加齢にかんする新たな視座を提唱する
2020年夏、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大によって、人々のライフスタイルは激変した。経済活動の縮小や学校・教育現場の混乱など、COVID-19は子どもから高齢者まですべての年代に影響を及ぼし、持続可能な開発目標の達成に向けた今後の取り組みにも、長期にわたる影響が予測されている。ロックダウンの影響は、健康に関する意識と行動に多大な変容をもたらした。例えば、運動・スポーツに着目すると組織的なスポーツへの参加率は低下したものの、ウォーキングや筋力トレーニングをはじめとする個人的なスポーツ活動に取り組む人々が新たに出てきている。このように、COVID-19による影響は、ネガティブな側面だけではなくポジティブな側面を持ち合わせている。今後、個人と社会の視点から、健康維持・増進や長寿に関する施策が一層注視されることになるだろう。健康を維持しながら年齢を重ねるエイジングは、加齢・老化に関するネガティブなイメージから、今や「アクティブエイジング」「サクセスフルエイジング」「スマートエイジング」をはじめとするポジティブなキーワードへと変貌を遂げている。老年学や社会学、医学の領域にとどまらず、芸術やキャリア教育にも広がりをみせるなど、学際的なアプローチによる研究が進化しつつある。
そこで、本書では、ヘルシー(健康的な)+エイジング(加齢)を、これまであまり議論されることがなかった、芸術や文化、さらには社会的な活動に改めてフォーカスすることを試みる。教育とヘルシーエイジングに関するレビューや理論だけでなく、実践研究を包含する多様性が本書の特徴である。
目次
はじめに(常行 泰子)
序 章 ヘルシーエイジングの定義と教育におけるヘルシーエイジング(柴 英里)
第1章 フィットネス教育とヘルシーエイジング(常行 泰子)
第2章 ヘルシーエイジングと持続可能性をめざした食教育の重要性(柴 英里)
第3章 高等教育とヘルシーエイジング(野中 陽一朗)
第4章 アートとヘルシーエイジングの実践(吉岡 一洋・野角 孝一)
第5章 北欧の生涯教育とヘルシーエイジング:
スウェーデンのフォルケホイスコーレにおける高齢者の学び(森田 佐知子)
第6章 今後のヘルシーエイジング未来展望(森田 佐知子)
あとがき(吉岡 一洋)